2012年10月30日

映画「ツナグ」感想文



TOHOシネマズ名古屋ベイシティでの観賞です。

都内の高校に通う渋谷歩美(松坂桃李)。幼くして両親を失った彼は、祖母の渋谷アイ子(樹木希林)に育てられた。孫に労わられながら過ごす祖母、そんな二人暮しだったが彼らにはもう一つの顔があった。それは「ツナグ」と呼ばれる、現世の人間と亡くなった人とを再会させる事を「調整する」役割を担った「仕事」をする人たちだった。現世の依頼人と直接会い、情報を聞き出し、死者との再会をお膳立てする歩美と、死者に直接コンタクトをとり、依頼人に会いたいかどうか聞き出すアイ子。いくつかのルールの中、死者の合意が取れると品川のホテルの一室で一晩だけ再会ができるのであった。その夜も依頼者に会いに良く歩美。そこにいたのは口が悪く、「ツナグ」を詐欺としか見ていない畠田靖彦(遠藤憲一)だった。彼が再会を申し出たのは、彼の母親の畠田ツル(八千草薫)だった。土地を売りたい畠田は、母親が土地の権利書のありかを教えずに死んでしまったので、その場所を知りたいと言ったことだった。数日後畠田のもとに歩美から連絡が入る。亡くなった母親の了解が取れたので、満月の夜に品川のホテルに来て欲しいとの内容だった。疑いの目を向けたままの畠田だったが、そのホテルの一室にいたのは紛れも無い母親のツルだった。ツルは今日こうした機会を作ったのは権利書のことではないことを見抜いていた。畠田は母親に胸の中の苦しみを打ち明け始めた。

第32回吉川英治文学新人賞に輝く、辻村深月の小説を実写化したファンタジー・ドラマです。監督さんは「ROOKIES -卒業-」の平川雄一朗監督。主演の不可思議な役割を継ぐことを決める高校生役に「アントキノイノチ」の松坂桃李。その祖母役に「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」の樹木希林。彼らに依頼する会社社長役に「クライマーズ・ハイ」の遠藤憲一。主人公と同級生で演劇部に所属するやや自己中心的な女子高生役に「告白」の橋本愛。その親友役に「愛と誠」の大野いと。7年前に失踪した婚約者を待ちつづけるサラリーマン役に「BRAVE HEARTS 海猿」の佐藤隆太。その婚約者役に「荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE」の桐谷美玲。

さてただのお涙頂戴ではない練られた作品だと思います。例によって原作は読んでいないわけですが、相関関係が極めて単純なため、話の内容が非常に理解しやすい作りになっています。そしてそのイメージに極めて合致した印象のキャスティングが光ります。相変わらずの怪演ぶりを見せる樹木希林さんはもちろんのこと、チョイ役なのに極めて印象に残る仲代達矢さんの印象。そして決して上手な演技ではないのですが、桐谷美玲さんのややごこちない感じがあの役柄には良かったのかなとも感じます。落ちで主人公が両親に対して「そうしなかった」のも好感が持てる感じがします。

ただ佐藤隆太さんのくだりは少々やりすぎかな。なんか他2つのエピソードに比べてややギクシャクした印象が否めません。また結構邦画に多いのですが、スピリチュアルなシーンのCGの使い方が非常にわざとらしい。ああいったファンタジーアニメのような効果がはたして必要なのでしょうか?もっと自然な効果を使って欲しかったですね。

もー初っ端のエンケンさんのくだりで涙腺をぶっ叩かれてしまいました。涙を流すかどうかは別として、久しぶりに「泣ける」映画だと思います。時間とお金のある方は是非ご覧下さい。


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2012年10月23日

映画「ボーン・レガシー」感想文



イオンシネマ富士宮での観賞です。

かつてジェイソン・ボーンが暴こうとしたCIAの暗部。そのことを記事にしようとした新聞記者は射殺された。ボーンをCIA内部から支援したパメラ・ランディ(ジョーン・アレン)は公聴会に召喚されようとしている。トレッドストーン計画とブラックブライアー計画以外にも人体改造による強化人間を作り出そうとしていたCIAは、一転リック・バイヤー(エドワード・ノートン)率いる隠蔽チームによって証拠隠滅を図ろうとする。やはりCIAにより人体改造をされたアーロン・クロス(ジェレミー・レナー)は、その知力と体力を維持するために「緑」と「青」の薬に依存しなければならなかった。しかし隠蔽チームによって次々と殺されていく仲間たちと同様、アーロンにもその影が忍び寄ってくる。豪雪の山岳地帯での危機を乗り越える。しかし薬が残り少なくなったアーロンは、彼のデータをとっていた科学者のマルタ・シェアリング博士(レイチェル・ワイズ)を頼って街に出てくる。しかしそのマルタにも危機が訪れていた。彼女が勤務していた製薬会社の研究室では惨劇が起こっていた。同僚の研究者が他の科学者たちを次々と射殺する事件が起きていたのだ。かろうじて生き残ったマルタは自宅に帰り、引越しの準備をしていた。そこに捜査官や心理学者を名乗るものが訪れた。その狙いはマルタを自殺に見せかけて殺すことだった。そこにアーロンが訪れ、マルタは命を救われる。

お馴染みの「ボーン」シリーズの裏で進行していたストーリーを描くアクション大作です。監督さんは「ボーン・アルティメイタム」で脚本を担当したトニー・ギルロイ。主演のCIA工作員役に「ハート・ロッカー」のジェレミー・レナー。彼をサポートする科学者役に「ハムナプトラ/失われた砂漠の都」のレイチェル・ワイズ。彼らを抹殺するチームの指揮官役に「インクレディブル・ハルク」のエドワード・ノートン。

まぁなんと言ってもアクションでしょう。マニラの街で展開されるチェイスはなかなかのものでした。CGもそうなのですが、スタントマンさんが繰り広げるバイクアクションはなかなか痺れるものがありました。それから現代の犯罪捜査に必要不可欠となっている防犯カメラによる追跡も興味深いものがあります。また人体改造の設定もジェイソン・ボーンよりも高度になっていて、時代の進化を感じさせられます。

しかしその設定なんですが複雑すぎます。設定が理解できずに進行して行く前半(かなりの部分だが)を観ていくのはなかなか苦痛なところがあります。主人公の工作員と研究者の逃亡劇が始まるあたりからやっと話が動き出すようなイメージがあります。また中途半端に「ボーン・アルティメイタム」のシーンが使われているわけですが、直前にテレビやDVD見てでもいない限りすっかり忘れてしまっていて「知ってるやろ?」的な投げかけをいただいても「?」な感じがするんですよね。

続編があるようですが、何か心に引っかかる部分を晴らしてくれるのかなと言う期待はありますね。時間とお金のある方はご覧下さい。


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2012年10月19日

映画「ハンガー・ゲーム」感想文



藤枝シネ・プレーゴでの観賞です。

過去に民衆反乱があった国家「パネム」。反乱を抑えた政府は毎年一回反乱を抑制するためのイベントを開催することになった。その名は「ハンガー・ゲーム」。このゲームは12に分かれた地区から12歳から18歳までの男女一名づつを抽選で選び、24人で殺し合いをし、勝者となった1名が政府から名誉と特別な待遇を受けられるといったものだった。その年もハンガー・ゲームの開催が近づいてきた。石炭の採掘が主な産業であるパネムの第12地区に住むカットニス・エバディーン(ジェニファー・ローレンス)は森に入っては弓矢で狩猟をしては生計を助ける少女だった。父親は事故で亡くしたが、母親と妹のプリム(ウィロウ・シールズ)と暮らし、ゲイル(リアム・ヘムズワース)という恋人もいた。そしてハンガー・ゲームのメンバーが選ばれる日、第12地区の少年少女は広場に集められた。まずは女性の抽選が行われ、呼ばれた名前はプリムであった。プリムは怯えながらも壇上に上がろうとするが、見かねた姉のカットニスは自らが志願すると名乗りをあげた。そして第12地区から選ばれた男性のメンバーであるピータ(ジョシュ・ハッチャーソン)と共に列車に乗り、ハンガー・ゲームの開催される首都へと向かうのだった。開会式に向かう様々な出来事の中、カットニスは教育係のヘイミッチ(ウディ・ハレルソン)や衣装メイク担当のシナ(レニー・クラヴィッツ)の心を惹き付けて行く。そしてそれは一般大衆へも広がりを見せていく。

アメリカで驚異の2000万部以上のベストセラーとなった、スーザン・コリンズの小説を基に映画化したサバイバル・スリラーです。監督さんは「シービスケット」のゲイリー・ロス。主演の肝の据わった弓矢が得意な少女役に「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」のジェニファー・ローレンス。共にゲームに挑む同郷の少年役に「センター・オブ・ジ・アース」のジョシュ・ハッチャーソン。彼女らの教育係役に「7つの贈り物」のウディ・ハレルソン。舞台となる国家の元首役に「バックドラフト」のドナルド・サザーランド。

さてネットのレヴューでは結構叩かれているこの作品ですが、アクションはそこそこあるし、泣かせるところはちゃんと泣かせる作りになっていて、そんなに悪いとは思えません。少年少女同士が殺しあうと言うのは「バトル・ロワイアル」などでもあったシチュエーションですが、それだけで同じ土俵に立たせるのは如何なものかと思います。主人公のジェニファー・ローレンスは美形でもカワイイタイプでもないけど、観るものを引き入れるものを持っていてなかなか良いなと思いました。

ただそんなに難しい設定ではないのに、説明的シーンが長すぎます。ただでさえ120分を越える作品ですので、もう少し戦いのシーンにウエイトを置いてくれても良かったのではないと思います。同郷の二人が恋仲におちていく展開などは、「つり橋効果」で戦いの中でそう言うような方向に持って行けば良いと思うので、事前の刷り込みはあまり必要なく思います。戦いの時間が少なくなってしまったばかりに、あっさり事が進行しすぎて物足りなさを感じました。

そうなのか、「2」公開決定なのか。でも展開がもう見えてきちゃっているんですが(^_^;)良い意味で裏切って欲しいですね。時間とお金のある方はご覧下さい。


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2012年10月13日

第7回しみず寄席のお知らせ



お待たせいたしました。第7回「しみず寄席」のお知らせです。

第7回を迎えました今回の「しみず寄席」は今年の夏に新装オープンいたしました静岡市清水文化会館「マリナート」の小ホールにて開催いたします。おそらく小ホールでの落語会開催は私たちが初めてになると思います。

今年のご出演はご存知清水区出身の春風亭百栄師匠と古今亭駒次さんです。

春風亭百栄師匠は今年初めてのしみず寄席のご出演になります。最近は百栄師匠も売れっ子でなかなかスケジュールを押さえる事ができません。今回も師匠のスケジュールとマリナートの空き状況をすり合わせた末に、平日での開催となったのです。しかし新しいホールでの落語会ということで、百栄師匠もたいへん気合が入っております。新しいホールでの百栄師匠のユルさにご期待ください。

もうお一方は古今亭駒次さん。駒次さんは東京都のご出身。玉川大学卒業後、平成15年古今亭志ん駒師匠に入門。平成19年に二つ目に昇進されています。いわゆる「鉄」で鉄道が大好きな方です。駒次さんのWebサイトを拝見しても鉄道愛が強く感じられます。古典新作ともにこなす期待の若手落語家さんです。ぜひお楽しみにして下さい。

こんなお二人でお送りします「第7回しみず寄席 inマリナート」。大いにご期待ください。

第7回しみず寄席の詳細は次の通り。
日時:2012年11月28日(水) 開場は18:30 開演は19:00
場所:「静岡市清水文化会館マリナート」 小ホール
 静岡市清水区島崎町214(JR清水駅東口より徒歩3分・清水駅自由通路直結)

全席自由席 2,000円 前売りのみの販売です。

すでにチケットは販売開始しております。

次のお店で販売しています。

○清水区
リビングハウスこまつ 静岡市清水区真砂町3-9
combi(コンビ) 静岡市清水区袖師町1877-66
よし川 静岡市清水区蒲原3-5-18

○葵区
喫茶じゅげむ 静岡市葵区上石町2-9

また、メールでの直販もやっています。
メールのやり取り&銀行振込等でご購入できます。
まずは以下のアドレスにメールを下さい。メールにはアドレスとお名前を忘れずに!
shimizurakugo@mbn.nifty.com
(一部設定により件名や本文が文字化けするケースが報告されています。その場合は文字化けした部分を削除して下さって構いません。)

こちらよりお振込先等のご連絡をいたします。
まぁ、ヤフオクの取引みたいな感じになります。

お電話では事務局にお願いいたします。
054-351-0511
(株式会社ベイプレスセンター内)
土日祝日は留守番電話の対応となります。

なお会場のマリナートのWebサイトはこちらです。
http://www.marinart.jp/
マリナートという新しい劇場での落語会を私たちもとても楽しみにしています。出演者さんも気合が入っています。平日なのですが、たくさんのお客さんで新しい清水のホールでの落語会を盛り上げていきたいと思います。是非お越しください!


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2012年10月12日

映画「天地明察」感想文



シネプラザ・サントムーンでの観賞です。

江戸時代前期。戦国の世も遠くなりつつあるこの時代、碁打ちとして幕府の重鎮に重用されていた安井算哲(岡田准一)は、碁打ちとしての才能だけでなく、独学で身につけた算術や天文学にも秀でた才能をもっていた。そちらの才能に目をつけた会津藩主の保科正之(松本幸四郎)は、彼に日本各地の北極星の位置を観測する北極出地の旅に出ることになる。天文学の先輩でもある建部伝内(笹野高史)や伊藤重孝(岸部一徳)と共にする旅は算哲に新しい発見をもたらし、そしてその才能を花開かせる旅となった。しかし道中建部伝内が病に倒れるなどして、観測の旅は大幅に日程が遅れることとなった。算哲には彼を待っている女性がいた。村瀬塾を主宰する村瀬義益(佐藤隆太)の妹えん(宮崎あおい)だった。彼女は一年の間、算哲の帰りを待っていたのだがお家の事情もあり、算哲が江戸に帰った時には嫁に行ってしまっていた。落ち込む算哲だったが、彼の才能を評価する人々はさらに大きな仕事を算哲に課すこととなった。それは新しい暦を作成することだった。当時の暦は800年前の中国の暦を使用していて、夏至や冬至、日食や月食の日にズレが生じていた。水戸藩主の水戸光圀(中井貴一)や保科正之はこの国の人々の生活上、暦が正しくないことは非常に重要ととらえ、改暦を考えていたのだった。しかし暦は帝の命により発せられるため、公家達の既得権益となっていた。幕府による改暦はその公家達の抵抗が大きいことが予想された。それでも算哲は改暦のための作業を始めるのだった。

冲方丁原作の時代小説を映画化した作品です。監督さんは「おくりびと」の滝田洋二郎監督。主演の算術と星に熱中する碁打ち役に「SP 野望篇」の岡田准一。その妻役に「神様のカルテ」の宮崎あおい。会津藩主役に「十三人の刺客」の松本幸四郎。水戸藩主役に「麒麟の翼 ~劇場版・新参者~」の中井貴一。

さて星好きの子供のような役を岡田准一がなかなか良い感じで演じています。すでにある程度成功した地位にいる青年が、さらに高みに昇って行く成長過程を見る事ができます。そして「おくりびと」でもあった人間同士の信頼関係がいろんな形で表現されています。そして長い作品であるにも関わらず色んなエピソードで飽きない構成になっています。それから数学や天文学と言う取りつきにくい題材でありながら、その予備知識が無くても話に入っていけるところはなかなかすごいと思います。作り手って、観る側になめられちゃと考えるのか、難しいことを少し入れたがる傾向はありますからね。

ただすっきりとしたメリハリはあまりありません。それは全体的に成功例が占めるようなストーリーなのですが、失敗例が主人公を非常に落ち込ませているようにはあまり感じないところがあるんですね。師匠が亡くなって大変な悲しみがあるはずなのにそれをあまり感じ得ない。演技なのか演出なのかは良くわからないんですが…。それからキャスティングがややマッチングしない感じがあったんですね。武藤敬司さんは妙に良かったんだけどね。

題材が基本的に好きな分野なので、自分は結構面白く観る事ができました。時間とお金のある方は是非ご覧下さい。


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2012年10月08日

映画「鍵泥棒のメソッド」感想文



109シネマズ名古屋での観賞です。

売れない役者の桜井武史(堺雅人)は自宅アパートで首を吊ろうとするが失敗する。所持金もわずかな中、銭湯の入浴券を見つけ風呂に入りに向かう。一方凄腕の殺し屋のコンドウ(香川照之)は会社社長を殺害した帰り、渋滞に巻き込まれていた。几帳面なコンドウはわずかについた血のりを洗い落とすため、渋滞中に目についた銭湯に入った。洗い場に入ったコンドウは石鹸を踏んづけ転倒し頭を強打する。そこに居合わせた桜井は、きちんとした身なりをしていたコンドウのロッカーの鍵を自分のものと置き換え、コンドウの服を着て銭湯から離れ、彼の金で借金を返しまくった。片や救急車で運ばれたコンドウは記憶を失い、所持していた荷物から自分が桜井武史であると信じてしまう。病院をでて自分のことを確認しようとした時、病院の玄関で知り合った雑誌編集長の水嶋香苗(広末涼子)に桜井のアパートまで送ってもらう。会社で突然相手もいないのに結婚宣言をした彼女は、コンドウの几帳面で真面目な性格にだんだん惹かれて行く。またコンドウのマンションに入った桜井は、入れ替わった男がコンドウと言う殺し屋であることを、されのクライアントでヤクザである工藤純一(荒川良々)の話から悟る。そして工藤はさらに難しい仕事を桜井に依頼する。

ひょんなことから人生が逆転してしまった2人の男性を巻き込んだ物語の成り行きを、笑いとサスペンスで構成させた娯楽作品です。監督さんは「アフタースクール」の内田けんじ監督。主演の売れない役者役に「ツレがうつになりまして。」の堺雅人。凄腕の殺し屋役に「20世紀少年」の香川照之。結婚宣言をした雑誌編集長役に「おくりびと」の広末涼子。殺しの依頼をするヤクザ役に「私は貝になりたい」の荒川良々。

さてとにかく練れた脚本に驚愕するばかりです。話全体としてはツッコミどころも満載なのですが、きちんと細かい伏線を踏んでいて、話の後半になってそれが見事に展開されていき、作品を観終わった後にスッキリした気分にしてくれる構成です。内田監督の作品は「アフタースクール」で初めて観たのですが、その時も同じ感想を感じたものです。期待通りのところは期待に応えてくれるし、裏切ってくれるところは見事に裏切ってくれる。笑いを取るところはキッチリとって、ほろりとさせるところはさせてくれる。また役者さんがその力量を見事に発揮してくれています。堺雅人さんや香川照之さんが当然のようにその力を見せてくれているのですが、やや見劣りすると思っていた広末涼子さんまでが内田マジックにかかっていて、彼女の映画出演作品の中でもかなり良い感じに観ることができると思います。

ただ全体的な設定の甘さは否めません。「そんなはずないだろ」って言った設定がかなり出てきます。例えば香川照之さん演ずる殺し屋がどうして広末涼子さん演ずる雑誌編集長の自宅の場所を知りえたのか…とか。それとか堺雅人さん演ずる貧乏役者が携帯電話だけはちゃんと通じるようになっているとか。前述の通り、まぁそう言ったツッコミどころはかなりある印象です。

小野武彦さんのメッセージビデオには不覚にも泣きそうになってしまいました。良い作品だと思います。時間のある方はご覧下さい。


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2012年10月02日

映画「バイオハザードV リトリビューション」感想文



TOHOシネマズららぽーと磐田での観賞です。

世界最大の企業アンブレラ社との戦いが続くアリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)。戦いの末に気絶したアリスはアンブレラ社の拘束室に閉じ込められる。目が覚めたアリスに尋問をする女性がいた。それはかつて共に戦った戦友のジル(シエンナ・ギロリー)だった。彼女はアンブレラ社に完全にコントロールされていたのだった。しかし施設のコンピュータに何物かがハッキングし、アリスは拘束室からの脱出に成功する。拘束室から出たアリスの前には東京の街だった。ゾンビと化した東京の人たちが次々とアリスに襲いかかる。アリスはその戦闘能力を発揮してその場を逃れ、施設の中の中央制御室に迷い込む。その場ではシステムを管理するアンブレラの社員が全員死んでいた。そしてその場にはアンブレラ社のトップであるウェスカー(ショーン・ロバーツ)の片腕エイダ・ウォン(リー・ビンビン)の姿があった。そしてモニターにはかつて戦ったウェスカーの姿があった。彼はアンブレラ社が研究所「ハイブ」を制御していたコンピュータ「レッドクイーン」の管理化にあることを告げた。「レッドクイーン」は人類を滅ぼそうとしているつもりであることも。ウェスカーはアリス達がいる場所が世界の大都市の街並みを再現させたアンブレラ社の巨大施設であることを告げ、その場所からの脱出する作戦をアリスに告げた。

カプコンの大ヒットゲームの映画化シリーズ第5弾です。シリーズ通してのキャラクターたちが復活も含めて登場しています。監督さんはシリーズの多くでメガホンをとる「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」のポール・W・S・アンダーソン監督。主演の細菌兵器により凄まじい戦闘力を持った女性に「フィフス・エレメント」のミラ・ジョヴォヴィッチ。敵の戦闘の指揮をとる元女刑事役に「エラゴン 遺志を継ぐ者」のシエンナ・ギロリー。主人公の施設脱出に手を貸す女性役に「1911」のリー・ビンビン。脱出に立ちはだかるクローン化した女兵士役に「アバター」のミシェル・ロドリゲス。

さてゲームから派生した「バイオハザード」シリーズの最新作です。まずはなんと言ってもアクションでしょう。相変わらずの超人的なアクションに目を奪われます。男優さんのアクションも力強いですが、やはり女優陣のアクションが見ものです。もちろんウィルス感染によって化物化したゾンビや、完璧とは言えませんが東京やモスクワ,ニューヨークの街並みも「らしく」作られています。ストーリー的にも冒頭の部分で「?」的なところはあるものの、考えないで話が繋がっていくのは「スカッとする」アクション映画では必要な部分だと思います。

ただエンディングは「続く」的な部分はあってもいいのですが、もっとちゃんと締めてもらいたかった気がします。「ええっ?ココで終わり?」みたいな感じはものすごく残りました。全体的には「施設」を脱出すると言うコンセプトは「1」と変わらない気がしますが、「1」に比べて緊張感が無かった気がします。また戦闘服が異様に似合う女優ミシェル・ロドリゲスさんが「1」以来の復活をしますが、クローンであるにも関わらず「1」にあった冷たい中でも温かみがあるキャラクターが無くなっていて非常に残念です。

キャラクターと言えば、私は「2」の黒髪ショートのジルが好きなんです。シエンナ・ギロリーさん、今回もキレイだったのですがやっぱり黒髪ショートでいて欲しかった。時間とお金のある方はご覧下さい。


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