2012年09月29日
映画「夢売るふたり」感想文

109シネマズグランベリーモールでの観賞です。
東京の片隅で居酒屋を営んでいた市澤貫也(阿部サダヲ)と里子(松たか子)夫婦。開店5年目を迎えた店は貫也の料理の腕と里子の接客も手伝って繁盛をしていた。しかし営業中のちょっとした隙に火が出て店は全焼してしまう。大家は飲食店を続けることに難色を示し、店は移転を余儀なくされるが、二人には先立つものが無かった。貫也はかつて修業した店で働き始め、里子はラーメン屋でバイトを始めるが、貫也は板場の責任者と衝突し店を辞めることになってしまう。そのことで苛立った貫也は終電の出た駅のホームで、泥酔していた店の常連客の玲子(鈴木砂羽)と出会う。玲子は上司と不倫関係にあったが、その上司は病気のため生死の境にあり、彼の弟から手切れ金を渡され荒れていたのだった。彼女を自宅まで送っていった貫也は勢いで一夜を共にしてしまう。玲子は店再開のたしにと手切れ金を全て貫也に渡した。大金を手にした貫也は急いで里子のもとに戻るが、ちょっとしたことで玲子と一夜を共にしたことがばれてしまう。しかしこのことで貫也の女性に対する印象のよさを知った里子は、更なる資金稼ぎに結婚をちらつかせて女たちから金を巻き上げる詐欺を思いつく。
全焼した料理屋をグレードアップして再開する資金集めとして結婚詐欺に手を染める夫婦を演じる異色のラブ・ストーリー。監督さんは「ディア・ドクター」の西川美和監督。主演の料理屋経営の夫婦の夫役に「なくもんか」の阿部サダヲ。妻役に「告白」の松たか子。詐欺へのきっかけとなる常連客役に「劔岳 点の記」の鈴木砂羽。詐欺の最初の標的にされる女性役に「麒麟の翼 ~劇場版・新参者~」の田中麗奈。
さて何となく懐かしさを感じさせる映像とストーリーが良いなと感じました。1970年代はこういったドラマがたくさんあった気がします。窓の外に電車が見える風景、女の情念、目的をもって行動する男がターゲットの女に感情移入してしまう情けなさ。そんな舞台設定が最近の洗練されたドラマに無い情感を感じさせてくれました。阿部サダヲさんも相変わらずの芸達者な部分を見せてくれています。笑いを取るところはキッチリ取り、締めるところはキッチリ締める。はまり役だなと思いました。また女優陣が本当に光っていたと思います。松たかこさんの「告白」以来、冷徹な女の恐ろしさを表現できる役者さんになったと思います。まただまされる女たちを演じた女優さんも素晴らしかったと思います。
しかし映画の落としどころがどうも奥歯に物が挟まったようなスッキリしない感じがしました。いやこう言った犯罪をテーマにした作品ですので「こんな落ちなんだ」と言えばそれまでなのですが、何かもう一捻りが欲しかった気がします。それから作品のレヴューなどで「結婚詐欺」と言う言葉が踊るのですが、本当に結婚詐欺なんでしょうか?「結婚」という言葉を使ったのは最初の方だけだった気がします。大掛かりな寸借詐欺のような気がするんですけど…。
探偵の笑福亭鶴瓶師匠。やっぱり関西弁が出てしまうのね(^_^;)時間とお金のある方はご覧下さい。
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2012年09月19日
映画「デンジャラス・ラン」感想文

MOVIX清水での観賞です。
南アフリカのケープタウン。怪しい男たちが取引を始めようとしていた。トビン・フロスト(デンゼル・ワシントン)はMI-6局員の男からマイクロチップを受け取る。しかし取引場所を刺客に襲われ、現場にいた男はフロストを除き死亡する。フロストは逃げ切ろうとしたが追撃は厳しく、やむなくアメリカ領事館に逃げ込む。フロストはかつてCIAのトップエージェントだったが、内部機密を漏洩した罪に問われ国際指名手配されていたのだった。大物の自首でCIA本部は事情聴取のスタッフをケープタウンに派遣するが、取り調べは「セーフハウス」と呼ばれる市内の隠れ家にて行われた。この隠れ家の担当者のマット・ウェストン(ライアン・レイノルズ)は付き合っていた彼女のアナ(ノラ・アルネゼデール)のためにケープタウンを赴任地に選び、彼女がパリに移ることになるとパリを赴任地にするよう頼んでいるような男だった。そんな彼が「管理」しているところに大物犯罪者が連行されてきたのだ。フロストの尋問が始まると同時くらいに隠れ家は武装した集団に襲われ、激しい戦闘が起こり事情聴取にやってきたスタッフは全滅し、マットはフロストを連れて逃亡する。激しい追っ手から逃げる最中に本部から送られてきた指示は、フロストを拘束しつづけることだった。追っ手から逃れたマット達だったが、別の隠れ家に移動する途上のサッカー場でマットはフロストを取り逃がしてしまう。
凄腕CIAエージェントであったが今はお尋ね者の男と、新米のCIAエージェントによるリスクの高い逃走劇を描くアクションムービーです。監督さんは「イージーマネー」のスウェーデン出身の新鋭監督ダニエル・エスピノーザ。主演の元CIAエージェント役に「ボーン・コレクター」のデンゼル・ワシントン。逃走劇中に成長していく新米エージェント役に「グリーン・ランタン」のライアン・レイノルズ。
さてやっぱりデンゼル・ワシントンの安定感が浮き足立ちやすいアクション物を落ち着いた感じにさせてくれます。沈着冷静でありながら時折見せる激しい感情もどっしりした演技を見せてくれています。相方を務めるライアン・レイノルズも作品序盤とラストは明らかに人間的に違う成長感を見せてくれています。またカーアクションや建物内や市街地での戦闘シーンも強烈なスピード感とカメラワークが光ります。撮影監督と編集スタッフが「ボーン」シリーズのスタッフが務めているようです。ちょっと「ボーン・スプレマシー」を彷彿させるようなアクションシーンです。
しかしどうも前半のストーリーがいまいち理解し辛い部分はあります。特に「悪人」の構図が複雑で、それが柔軟でなくなっている頭に混乱を産む気がします。作品の全体像が結構早くからぼんやり見えてくるのですが、そこらへんの整合性が取り辛いんだろうなと感じます。また字幕が見辛いのは非常に気にかかります。それから邦題、やや内容とは違うような気がするのは私だけでしょうかね。
序盤のデンゼル・ワシントンが歩いて逃げるシーン。カッコよかったと思います。時間とお金のある方はご覧下さい。
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2012年09月18日
映画「トータル・リコール」感想文

MOVIX清水での観賞です。
化学戦争のため世界のほとんどの土地で住むことができなくなった地球。その中で2つのエリアだけ。その2つのエリアは地球の反対側に存在し、「フォール」と呼ばれるエレベーターのような乗り物で行き来をしていた。そして2つのエリアは支配者階級が住むブリテン連邦と労働者階級が住むコロニーと言うエリアになっていた。コロニーの労働者の一部は「フォール」でブリテン連邦に通勤しては働いているものもいた。そういった環境に反発した労働者階級のレジスタンスが指導者マサイアス(ビル・ナイ)を中心に活動していた。「フォール」で移動してブリテン連邦のアンドロイド製造工場で働くダグラス・クエイド(コリン・ファレル)は悪夢によって不眠となっていた。その夢はダグラスとメリーナ(ジェシカ・ビール)が施設の中で追われ、ダグラスは逮捕されメリーナと引き離されると言ったものだった。目が覚めると横には警察官として働く妻のローリー(ケイト・ベッキンセイル)がいた。彼女はダグラスの気持ちの不安定さを優しく慰めてくれる。しかしモヤモヤ感の取れないダグラスは、リコール社の人工的に作った記憶を脳に送り込み気持ちの安定を得られると言った「商品」に手を出す。そして記憶を送り込む前に脳内のチェックをした技術者が、彼の脳の中にとんでもない秘密が眠っていたことに気がつく。そこの警官隊が突入してきて、リコール社の社員を殺害し、ダグラスを逮捕しようとした。しかしダグラスは一人で警官隊を撃退してしまう。その能力に自分で驚くダグラスだった。
1990年にポール・バーホーベン監督でアーノルド・シュワルツェネッガー主演で公開されたSFアクションのリメイク版です。監督さんは「ダイ・ハード4.0」のレン・ワイズマン監督。主演の記憶をなくした諜報員役に「マイノリティ・リポート」のコリン・ファレル。彼の妻で秘密警察の捜査員役に「ヴァン・ヘルシング」のケイト・ベッキンセイル。レジスタンスの女闘士役に「幻影師アイゼンハイム」のジェシカ・ビール。
さて幸か不幸かバーホーベン版を観ていないのです。その作品の呪縛がないためか、結構面白く観られたと言うのが正直な感想です。アクションシーンは宙に浮く車のカーチェイスシーンも含めてなかなか迫力があったと思いますし、ケイト・ベッキンセイルさんも執念を持って追いかける迫力はなかなかのものがあったと思います。アニメーターさんはかなり頑張ってあの映像を仕上げたなぁと感心しました。また様々な映画をオマージュしたシーンも自分としては面白く感じました。コロニーの退廃した街のイメージは「ブレードランナー」そのものでしたし、前出のカーチェイスやアンドロイドの出撃のシーンなんか「スター・ウォーズ」のエピソードシリーズあたりの感じがすごく感じて楽しかったです。
アニメーターさんは頑張ってくれたのは大いに評価するのですが、ただ個々のメカのデザインが今一つ練れていなかったのが残念に思います。アンドロイドの兵士軍団のメカも「スター・ウォーズ」のドロイドをチープにした感じだし。宙に浮く車のデザインも今一つカッコよく感じられませんでした。またレジスタンスのアジトが攻め込まれるシーンもあまりにあっけなく、これなら連邦政府ははいつでもレジスタンスを叩けるのではないかと思うくらい拍子抜けしてしまいました。それからどこまで自分がリアルな存在なのか、植え付けられた記憶なのかの葛藤がもう少しあったほうが良かったのかなぁと思います。
ネットなどの評価は低いのですが、大概はバーホーベン版と比較してのことだと思います。改めてバーホーベン版を観たくなりました。時間とお金のある方は是非ご覧下さい。
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2012年09月14日
映画「アベンジャーズ」感想文

109シネマズ名古屋(IMAX)での観賞です。
ニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)率いる国際平和維持組織シールドは無限のエネルギーを発する「キューブ」を使い新たなエネルギー開発をしていた。そこに過去神々の戦いに敗れた邪神ロキ(トム・ヒドルストン)が現れる。その場で警護していたホークアイ(ジェレミー・レナー)や科学者たちを洗脳し、自分の意思に従わせそして「キューブ」を奪った。フューリーは事件の主犯がロキと知り、過去に地球の危機を救ったスーパーヒーローたちを集結させる。ロシアでスパイ活動をしていたブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)、アジアで医師として活動していた超人ハルクに変身する科学者ブルース・バナー(マーク・ラファロ)、海の底に氷漬けにされていたキャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)、そしてNYに会社のシンボル的ビルを建築したアイアンマン(ロバート・ダウニー・Jr)。そしてロキを追ってきたソー(クリス・ヘムズワース)も彼らに合流する。しかし自らの主義を主張し、その力を誇示するヒーローたちの間には様々な軋轢があった。しかしそれを調整する時間も無かった。ドイツにロキが現れたのだった。フューリーの指示で彼らはドイツへと向かう。
アイアンマン、ソー、ハルク、キャプテン・アメリカなど、マーベルコミックのヒット作の主人公が一堂に顔を合わせるアクション大作です。監督さんは「セレニティー」のジョス・ウェドン。そして過去に個々の映画でその役を演じてきたロバート・ダウニー・Jr,クリス・エヴァンス,マーク・ラファロ,クリス・ヘムズワース,ジェレミー・レナー,スカーレット・ヨハンソンら豪華な俳優陣が映画に華を添えます。
2時間半近い長い映画でしたが楽しむことができました。アメコミ原作ですので基本的に考えなくても良いのが長くても苦痛にならないところだと思います。わがままでリーダーシップを取りたいアメコミヒーローたちを、脚本家としての実績はあるものの監督として大きな実績がないジョス・ウェドン監督ですが、かなりバランスをとるのに苦労したのではないかと思います。フューリー司令より苦労したのでは(^_^;)それからアニメーターさんも頑張っていたと思います。また敵キャラというのがいるわけですが、何となくホントにおっかないのは人間じゃないかと考えたりもします。
まぁキャラ的にアイアンマンとキャプテン・アメリカが、ストーリー展開的にソーが大きく前に出てきているのですが、個人的には一番なじみの深いハルクが二番手三番手にいるのが残念だったかな。それからキャラが全体的に「良い子」になりすぎている気がします。また単独の作品で出ている「ヒーローならではの弱さ、馬鹿さ」がもう少し出てきていると良いかなって気もしますが、まぁ長い作品ですので必要ないと言ったら必要ないかもしれません。
エンドクレジットが終わってからおまけ映像があります。非常にシュールで見ているうちに笑いがこみあげてきます。ここは必ず見てください。時間とお金のある方は是非ご覧ください。
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2012年09月13日
映画「ダークナイト ライジング」感想文

MOVIX清水での観賞です。
ジョーカーが恐怖に陥れた一件から8年後のゴッザムシティ。制定された法律の力もあり平穏な日々を送っていた。しかしその街をまた悪の手が狙っていた。バットマンとしてゴッサムシティを救ったブルース・ウェイン(クリスチャン・ベイル)は、会社を右腕のフォックス(モーガン・フリーマン)に任せ、傷めた身体のこともあり、身の回りのことを執事のアルフレッド(マイケル・ケイン)に頼りながら世間から隠れて生活していた。しかし女泥棒セリーナ・カイル(アン・ハサウェイ)の手によって指紋を採取されてしまう。さらに彼女が関わった議員拉致事件でブルースの盟友の市警本部長ゴードン(ゲイリー・オールドマン)が重傷を負ってしまう。その二つの一件にはベイン(トム・ハーディ)という人物が関わっていた。続いてベインは証券取引所を襲う。その事件でバットマンとして解決に乗り出したブルースだったが、ベインの計画は結果的に成功する。証券取引所のシステムに手に入れた指紋でハッキングし、無謀な株取引を演出されたブルースは破産してしまう。会社の乗っ取りを察知したブルースは、社長のフォックスと会長のミランダ(マリオン・コティヤール)に会社の運営を一任する。さらにブルースはベインの狙いが、会社で次世代エネルギーとして極秘裏に開発を進めていた核融合炉であると気がつく。
言わずと知れたDCコミックの名作「バットマン」を基にした「ダークナイト」シリーズの三作目です。監督さんは前作「ダークナイト」に引き続きクリストファー・ノーラン監督。主演の資産家のヒーロー役に「ターミネーター4」のクリスチャン・ベイル。主人公を助ける市警本部長役に「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」のゲイリー・オールドマン。街を狙う悪役に「インセプション」のトム・ハーディ。主人公に時に敵対しまた味方する女泥棒役に「プラダを着た悪魔」のアン・ハサウェイ。主人公の信頼を得る女取締役に「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」のマリオン・コティヤール。正義感にもえる若い刑事役に「50/50 フィフティ・フィフティ」のジョセフ・ゴードン=レヴィット。
さて前作「ダークナイト」は亡くなる直前のヒース・レジャーの怪演で私も大変魅了されました。その続編でいささか不安もあったのですが、3時間近い作品でありながら面白く観ることができました。それは一瞬たりとも気が抜けない、たたみかけるようなストーリー展開にあると思います。何よりも評価したいのが、前作でヒース・レジャー演ずるジョーカーのあまりの強烈さに沈んでしまったバットマン役のクリスチャン・ベイルが本当に前面に押し出されて、シリーズ史上最高に輝いていたと感じました。それは勧善懲悪というアメコミにありやすい構図ではなく、内面の弱さや判断の誤りや人間関係など、様々な苦悩に苛まれる姿が非常に身近に感じられます。それは主人公だけでなく、身近な人たち、また悪役までもが人間のしがらみに上に立ったドラマが展開していきます。また映像も非常にクオリティが高かったと思います。アニメーターさんたち、頑張りました。
しかし冒頭の1時間弱、過去の記憶を呼び起こすのに苦労しました。主人公の会社の役員人事(笑)の把握には手間取りましたし、新キャラの立ち位置もイマイチ不明瞭でした。前二作、最低「ダークナイト」無しにいきなり観るのは酷かなって感じがします。また前作と比較するのは個人的には大嫌いなのですが、やはり悪役の押し出しがやや弱かったかなと思います。
新エネルギーが使い方次第で破滅に導く脅威になる。なんだか絵空事じゃない気持ちになります。面白い映画だと思います。時間のある方はご覧下さい。
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