2013年11月25日

映画「そして父になる」感想文



MOVIX清水での観賞です。

建築会社に勤務する野々村良多(福山雅治)は日々大きなプロジェクトにかかわり、仕事に追われていた。しかしそんな中でも妻のみどり(尾野真千子)や息子の慶多(二宮慶多)を思っていた。特に息子にはきちんとした教育をすべく、彼なりの方針を決めてあたっていた。ある日、妻のみどり宛に一本の電話が入る。それは群馬の病院からだった。慶多を出産した病院からのその連絡は、子供を取り違えた可能性が高いといったものだった。DNA鑑定の結果は慶多は野々宮夫妻の子供では無いと言ったものだった。病院からは、こういったケースでは子供を小学校に上がる前に交換するのが通例であるとの説明を受けたが、それまでの時間と血縁を比べるのは夫婦にとって苦悩以外の何物でもなかった。野々宮夫妻は実の子供を育てている一家と会うことを決めた。群馬で電気店を営んでいる斎木雄大(リリー・フランキー)と妻のゆかり(真木よう子)は勝気な妻と弱気な夫といった感じだった。良多はどことなく斎木一家に違和感を感じるが、みどりと慶多は斎木一家とうまくやっていった。子供たちをどうするか悩む良多に、会社の上司の上山(國村隼)は二人とも引き取ってしまえという無責任なアドバイスをするが、良多はそれを本気で考える。あるタイミングで良多は斎木にそのことを打ち明けるが、それは斎木の怒りをかってしまう。そして良多は子供たちを交換する方向に向かっていく。

子どもの取り違えという出来事に遭遇した2組の家族を通して、愛や絆、家族といったテーマを感動的に描くドラマです。監督さんは「歩いても 歩いても」の是枝裕和監督。主演のエリートサラリーマン役に「真夏の方程式」の福山雅治。その妻役に「クライマーズ・ハイ」の尾野真千子。取り違えた主人公の実の子供を育てた父親役に「ぐるりのこと。」のリリー・フランキー。その妻役に「SP 革命篇」の真木よう子。

さて大好きな是枝監督の作品で楽しみにしていました。キャストも旬なメンバーですので、ありがちな子供の取り違えというシチュエーションからどんなストーリーを作っていくのか?その手法に期待していました。家族関係などを絶妙の距離感で表現しています。それは福山雅治さんの家族や、リリー・フランキーさんの家族だけでなく、夏八木勲さんの家族や尾野真千子さんと樹木希林さんの母娘関係など、その家庭が持つそれぞれの問題や、その環境から形成される人間性など、何ともいえないもどかしさをもって表現されています。それから基本的に解りやすい人間関係の上にストーリーが作られているのも非常に好感が持てます。

さて映画の話題の中心でもある福山雅治さん。正直福山さんの演技をしっかり見るのは初めてなのですが、思っていたイメージとややズレがあって、個人的にしっくりこなかったのが正直なところです。上手いとは思うのですがね。これから何本か観ればまた違った感想が出てくるとは思うのですが…。また何でもない脇役さんが結構光る是枝演出が、そんなに見られなかったのも残念に思います。

夏八木勲さん、良かったなぁ。亡くなったのが残念です。時間とお金のある方は是非ご覧ください。


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2013年11月11日

映画「ゴースト・エージェント/R.I.P.D.」感想文



シネプラザ・サントムーンでの観賞です。

ボストン市警の腕利き刑事のニック(ライアン・レイノルズ)は妻のジュリア(ステファニー・ショスタク)と豊かではないが幸せな暮らしをしていた。ニックは相棒のボビー(ケヴィン・ベーコン)と麻薬捜査で押収した証拠品の中に、金でできた装飾品のようなものがある事に気づく。ニックとボビーはこの金塊を証拠品として提出せず、ニックはこれを自宅の庭に埋めた。しかしニックといるだけで幸せそうなジュリアの顔を見ると、良心の呵責に押しつぶされそうになっていった。ニックはボビーに金塊のことを報告することを告げる。そのことをしぶしぶ了承したボビー。そんな二人に出動命令が下る。麻薬の売人が姿を現すというものだ。この売人は警官殺しもしており、銃撃戦は必至だった。案の定、現場は銃の撃ちあいとなる。そのどさくさに紛れてニックは、金塊を独り占めにしようとするボビーに射殺されてしまう。天国へ向かうかと思われたボビーだが、その途中でオフィスのようなところに入れられる。そこは「R.I.P.D.」という霊界の警察組織だった。証拠品を着服した悪徳警官の烙印を押されたニックだが、反省していることと警察官としての実績とキャリアを買われ、「R.I.P.D.」の捜査官として働くこととなる。これは下界にいる悪霊たちを逮捕または抹殺する組織だった。新米のニックはベテラン捜査員のロイ(ジェフ・ブリッジス)とコンビを組むこととなる。開拓時代の保安官だったロイは自己流の荒い捜査が信条だった。その手法と人間性にニックはついていけなかった。そんな中、二人で逮捕に向かった悪霊の体から金塊が出てきた。それはボビーと着服した金塊に酷似していた。興味なさそうなロイ、にニックは踏み込んだ捜査をしたい旨を告げる。

現世に潜む成仏できない悪霊たちを逮捕する霊界捜査組織にスカウトされた殉職刑事とベテランの相棒が、世界の存亡を左右する巨大な陰謀と対峙するコミカルな刑事モノです。監督さんは「RED/レッド」のロベルト・シュヴェンケ監督。霊界のベテラン捜査官役に「トゥルー・グリット」のジェフ・ブリッジス。相棒を組む亡くなった刑事役に「グリーン・ランタン」のライアン・レイノルズ。彼を殺した刑事役に「インビジブル」のケヴィン・ベーコン。霊界の警察の管理官役に「スパイダーウィックの謎」のメアリー=ルイーズ・パーカー。

さてB級感プンプンの一本です。設定も無理やりな感じで、突っ込みどころも満載なのですが、基本的に軽い気持ちで観られるB級らしい気軽さが良いと思います。解りやすい設定、ベテラン捜査官の強烈な個性、そこそこ楽しめるアクション、そして1時間半強の上映時間。それからやや暑苦しい若い捜査官に、しゃべりすぎるが老獪で昔かたぎで腕が達者なジェフ・ブリッジスさん演じる捜査官は非常に印象的ですよね。またあのだみ声が良い感じです(^^)

しかし主人公の言葉ではないのですが、序盤のベテラン捜査官は無駄にしゃべりすぎです。もう少し落ち着いた感じがあっても良かったのかな…と思います。あとは夫婦間のその後がどうなったのか、設定は充分理解できるのですが、男女間の関係はそれだけなのかな?って感じも持ちますね。

ケヴィン・ベーコンさんは、押井守監督も著書で書いているように、「インビジブル」のイメージは強烈で、この人が出てくるとちょっとワクワクするところがありますが、「インビジブル」以上のものって出てきませんね(^_^;)時間とお金のある方はご覧ください。


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2013年11月09日

映画「2ガンズ」感想文



シネマサンシャイン沼津での観賞です。

メキシコの麻薬王パピ(エドワード・ジェームズ・オルモス)と取引しているコンビのボビー(デンゼル・ワシントン)とスティグ(マーク・ウォールバーグ)。彼らはパピの金をくすねたことで殺された仲間の報復をしようと、パピがアメリカの銀行に預けていた金を強奪しようと計画していた。しかしこの2人には裏があった。ボビーはメキシコの麻薬捜査官、スティグは米海軍の下士官だった。その素性をお互い明かさずに作戦にあたっていたのだ。しかしボビーは任務上銀行強盗を企てることを元恋人であり同僚でもあるデビー(ポーラ・パットン)に打ち明け、作戦が上手くいくよう手はずを整えていた。かくして計画通り銀行を襲いパピの金を奪う事に成功する二人だったが、貸金庫に預けられていた金は想定した金額を10倍以上上回るものだった。金を奪って逃げおおせた二人だったが、一息ついた段階でボビーはスティグに自分の素性を明かしたが、スティグはボビーを撃って金を独り占めしていった。しかしスティグには彼なりの事情があった。彼は海軍の上官のハロルド・クインス少佐(ジェームズ・マーズデン)の命を受けてしていた作戦だったのだ。しかし金を渡す段階でクインスの裏切られ、スティグは海軍から追われる身となる。そして大金の正体がわかってくる。それはパピと同じように麻薬を取り仕切るアール(ビル・パクストン)のものであった。アールは銀行の支店長や、その後の足取りを追って、金を奪ったのがボビーであることを突き止める。ボビーはアールに作戦を指示する上司を殺され、追われる立場となる。互いに追われる立場となったボビーとスティグは再び手を組むこととなる。

スティーブン・グラントの同名のグラフィックノベルを原作にしたアクションコメディ。監督さんは「7デイズ」のバルタザール・コルマウクル監督。主演の潜入麻薬捜査官役に「アンストッパブル」のデンゼル・ワシントン。行動を共にする米海軍下士官役に「テッド」のマーク・ウォールバーグ。麻薬捜査官の監督官であり元恋人でもある女性役に「プレシャス」のポーラ・パットン。

さてデンゼル・ワシントンとマーク・ウォールバーグの2人のメインキャラがお互いの身分を隠しながらも、絶妙のパートナーシップと、それぞれのミッションを遂行するための駆け引きが面白い展開となっています。信用しているのか疑っているのか、微妙な距離感が独特なテンポを持って話が進んでいきます。また主人公たちが乗る古めのアメ車も良い味を出しています。名前が出てくるシボレー・インパラやダッジのチャレンジャー、音なんかもしびれますよ。

しかし何ですよね、いくらB級とはいえ話の設定が雑すぎる気がします。小池一夫先生の言葉を借りると「キャラ立ち」して無いキャラクターがたくさん居過ぎます。極端に言うと主人公2人以外はキャラクターが固まりきっていない感じなんですよね。人間の真意、その裏側の組織の真意があんまり明確に感じないんですよ。どうも土台が固まりきっていない上に、家を建てたような作品になっている印象を受けました。それから「ド派手なアクション」みたいな謳い文句があるのですが、そんなにすごいと思えるアクションでは無い気がします。

CGなんでしょうが、ニワトリが気の毒です。時間とお金のある方はご覧ください。


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2013年11月02日

映画「エリジウム」感想文



TOHOシネマズ浜松での観賞です。

21世紀末より地球は荒廃していった。富裕層は汚染された地球での居住をあきらめ、スペースコロニー「エリジウム」を作りそこに住んでいた。富裕層はそこで穏やかに暮らし、さらには医療ポッドの開発で病気や怪我も瞬時に治療してしまうこともできる様になっていた。一方貧困層は地球の劣悪な環境の中で暮らしていた。2154年、ロサンゼルスで暮らすマックス・ダ・コスタ(マット・デイモン)は、エリジウム市民のジョン・カーライル(ウィリアム・フィクトナー)が経営する機械工場で働いていた。彼はその出勤途中、ちょっとした諍いで怪我を負い病院へ行くと、少年の頃に孤児院で一緒だったフレイ(アリシー・ブラガ)と再会する。彼女に恋心を抱いていたマックスはフレイにモーションをかけるが振られてしまう。彼女には重い病気にかかった娘がいたのだ。フレイは娘のことが最優先だったのだ。そんな中、工場でマックスは大きな事故にあう。機械を照射線に当てるブースに閉じ込められ、大量の照射線を浴びてしまったのだ。会社から強い薬を与えられ、残り5日の命を宣告され解雇されてしまう。まだ死にたくないマックスは昔の自動車泥棒をやっていた頃の仲間のスパイダー(ワグネル・モウラ)に頼み、エリジウム行きを懇願する。スパイダーはマックスに交換条件を出してきた。それはエリジウム市民の上層階級の頭の中にあるパスワードやID、エリジウムの知りうる情報を、マックスの頭の中に刷り込んでくるといったものだった。マックスは自分を解雇したカーライルにターゲットを絞る。一方エリジウムではちょっとした権力争いが起こっていた。防衛を担当するデラコート長官(ジョディ・フォスター)の力が拡大し、総裁の地位を脅かすようなところまで来ていた。総裁を失脚させようと企んだデラコートはカーライルに相談した。カーライルはエリジウムのシステムを再起動し、組織を再構築することを提案した。そうカーライルの頭の中には現在の社会をひっくり返すようなデータが入っていたのだ。武装したマックスたちはカーライルの乗ったシャトルを襲撃する。

富裕層だけが居住を許されるスペースコロニー「エリジウム」を舞台に、虐げられた地球の住人の反撃をハードに描くSFアクションです。監督さんは「第9地区」のニール・ブロムカンプ監督。主役の残り5日の命を宣告された貧困層の若者役に「ボーン・アイデンティティー」のマット・デイモン。富裕層の社会でクーデターを狙う女性高官役に「フライトプラン」のジョディ・フォスター。主人公を狙う工作員役に「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」のシャールト・コプリー。主人公が思いを寄せる女性役に「アイ・アム・レジェンド」のアリシー・ブラガ。

「第9地区」という映画はなかなか面白く、その監督さんが豪華なキャストを使って製作したものなので興味がありました。まずはアクションシーンがなかなかわかりやすくて良かったと思います。基本的に「タイマン」が多く、変にスピード感を上げて訳のわからないアクションシーンが多めな昨今ですが、そこら辺の動きがわかりやすい。あまりキャラクターを増やさず、しかも隠密裏に動いているという設定が功を奏している気がします。またCGもなかなかのもので、銃でドロイドを破壊するシーンなどは小さく「おおっ」と声を上げてしまったほどです。そして近未来のロスは人間の強さや弱さ狡猾さなどが強烈に表現されています。監督の前作「第9地区」にも共通するような人間の生活感が良く出ていると思います。

ただ設定はややお粗末で、貧困層と富裕層が別の場所に住んでいて、富裕層は安穏に暮らし、貧困層はそのために劣悪な環境で働かされる、みたいな設定はSF映画でもつい最近あったような気がします。解りやすい設定は非常に大事なのですが、なんかこの作品独特の特徴がもう少しあっても良かったし、それならもっと単純に医療ポッドをめぐる話でも良かったのではないかと感じます。それから悪党が全体的に小粒。もっと巨悪がいても良かった気がします。

世間的な評価はそんな高くないようですが、僕は面白かったと思います。ややグロさもありますが、時間とお金のある方は是非ご覧ください。


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