2012年12月31日

映画「のぼうの城」感想文



シネプラザ・サントムーンでの観賞です。

織田信長の後を受けた豊臣秀吉(市村正親)の天下統一は目の前に迫っていた。秀吉の次のターゲットは小田原城を拠点とし、関東一円を支配する北条氏であった。秀吉は関東を取り囲むように小田原を攻める戦略であった。秀吉は気に入りの家来である石田三成(上地雄輔)に2万人の兵を与え、館林城と忍城の攻略を命ずる。忍城は成田氏長(西村雅彦)が守備していた。そしてそこには氏長のいとこである成田長親(野村萬斎)もいた。長親はでくのぼうを揶揄し、「のぼう様」と領民には言われていた。しかし領内での人気は高く、領主はもちろん、武闘派の家臣である正木丹波守(佐藤浩市)や柴崎和泉守(山口智充)をも凌いでいた。いよいよ秀吉の関東侵攻が進み、領主である氏長は一計を案じて小田原へ出兵した。それは秀吉と内通することだった。氏長は長親をはじめとした側近にそのことを打ち明け、決して秀吉方と交戦しないよう指示していった。三成の館林城攻めは交戦せずに開城し、次のターゲットは忍城となった。三成は長束正家(平岳大)を使いとして忍城に遣わし開城を迫った。城代である長親の父親の成田泰季(平泉成)が病に臥していたため、長親が対応に当たった。しかし長束正家の言葉に反発した長親は交戦することを告げる。かくして石田三成軍2万と成田長親軍500騎が戦うこととなる。

第29回城戸賞を受賞した和田竜のオリジナル脚本を自身が小説にしたものを映画化したものです。監督さんは「グーグーだって猫である」の犬童一心監督と「ローレライ」の樋口真嗣監督。主演の忍城城代役に「陰陽師 ~おんみょうじ~」の野村萬斎。その親友の武士役に「ザ・マジックアワー」の佐藤浩市。敵将役に「漫才ギャング」の上地雄輔。忍城々主の娘役に「アントキノイノチ」の榮倉奈々。

私がはじめて狂言を観たのが小学校4,5年の時だったと思います。太郎冠者を今回主役の野村萬斎さんのお父さんの野村万作さんが演じていました。その動きに大笑いしたのを覚えています。今回の野村萬斎さんもそうした滑稽な所作をかなり見せていて、「でくのぼう」とは一味違うコミカルなのぼう様を演じていると思います。また敵方のキャラクターもそれぞれの性格が明確に違い、中でも大谷吉継は史実にあるような智将で、山田孝之さんはうまく演じたなと思いました。それからストーリー展開もテンポ良く進んでいて140分強のやや長めの作品ですが飽きることなく観られると思います。

原作は本当に読みたかったのですが、なんだかんだ映画が先になってしまいました。作品を観ているうちに、野村萬斎さんののぼう様も充分な魅力があるのですが、この成田長親という人物がはたしてこれでよかったのかと言う疑問が浮かんできます。知人に全くしょうがない人物がいるのですが、「この人が言うんじゃ仕方ない」って気持ちになるような人です。私はこの人を「変なカリスマ」と言っているのですが、成田長親もひょっとしたらこう言った人物かもしれない。そうなった時、野村萬斎さんの時折発する知的な視線が、萬斎さんの演技の向こうで見え隠れする成田長親が結構否定しているんではないかといった気持ちにさせるんですよね。それから現代劇でそこそこの演技をする女優さんが時代劇で通用しないってことがよくあるのですが、榮倉奈々さんは少し勉強した方がいいかな?なんて思いました。

エンドロールのところで、行田市の忍城があった場所の今の姿が映し出されています。城そのものが無くても、地名や史跡が今でも残っている。過去に生きた人や出来事がそこには歴然としてあることを感じます。時間とお金のある方は是非ご覧下さい。


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2012年12月30日

映画「007 スカイフォール」感想文



109シネマズ名古屋での観賞です。

イスタンブールで英諜報機関MI6エージェントのデータが入ったハードディスクが奪われた。奪還の指令を受けたジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は、合流したイヴ(ナオミ・ハリス)と共にHDDをもって逃げる犯人を派手に追いかけていた。列車の上で犯人ともみ合いになったボンド。イヴは渓谷の橋の上で犯人の狙撃を試みるも銃弾はボンドに命中し、彼は渓谷へとまっ逆さまに落ちてしまう。かくしてHDDは奪われた。ボンドの死を確信したMI6だったが、上司のM(ジュディ・デンチ)は悲しみに浸っている暇は無かった。彼女はMI6のスパイ活動そのものに政府から審問を受けていたのだ。担当委員長のマロリー(レイフ・ファインズ)に呼び出しを受けた帰り、Mの目の前でMI6本部は爆破される。そこでMI6のメンバーが6人死亡した。一方辛くも生き残ったボンドは海沿いの街でエージェントの職務を忘れるような生活を送っていた。しかしテレビでMI6本部爆破の報を知るとロンドンに戻ってきた。しかしケガなどで以前の能力を発揮できなくなっていたボンドだったが、Mは彼に現場の復帰を命じた。その間にもMI6エージェントの氏名などがネット上に公開され、エージェントの命が危うくなるような事態に陥っていた。それはMの責任を問われるような問題へと発展していた。そしてこの一件にMの上海駐留時代のエージェントが絡んでいる可能性があるという情報を得てボンドは上海へと飛ぶ。

おなじみの007のコードネームを持つイギリスMI6エージェントであるジェームズ・ボンドの活躍を描くスパイ・アクションのシリーズ第23弾です。監督さんは「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」のサム・メンデス監督。主演のMI6エージェント役に「ドラゴン・タトゥーの女」のダニエル・クレイグ。その女性上司役に「J・エドガー」のジュディ・デンチ。彼女の命を狙う元部下役に「それでも恋するバルセロナ」のハビエル・バルデム。イスタンブールやマカオで主人公と行動を共にする女性エージェント役に「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」のナオミ・ハリス。英国国防情報委員会委員長役に「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」のレイフ・ファインズ。

さてダニエル・クレイグさんが007になっての三作目。彼がボンドになってから作品がかなり締まってきた印象が強いです。かなりストイックなボンドである印象です。この作品もそのイメージは崩れていないと思います。また世界各地での壮大なロケも大作らしさを感じさせます。また007の50周年ということで、昔のアストンマーチンが出てきます。良い車ですね。正面よりも後ろから見た佇まいがなんとも言えません。それから今回の悪役をされたハビエル・バルデムさんが「ムーンレイカー」などに出ていたジョーズを少し彷彿させるんですよね。それからいやな上司を思わせたレイフ・ファインズさんが妙にかっこよかったりします。主演のボンドもともかく、周囲の俳優さんたちが非常に光る演出をされていると思います。

ただボンドの過去が現れるのはどうなのかな。確かに興味ある部分ではあると思うのですが、「現在」を生きる存在であってほしかった気がします。また悪役が元上司をつけ狙う動機もどんなものでしょう?確かに彼の境遇には同情しますし、恨みを抱く気持ちもわかりますが、あれだけ大掛かりに個人的な恨みを晴らすものでしょうか?まぁ幼稚な動機だからこそ燃え上がるものなのかも知れませんがねぇ。また「売り」のアクションですが、らしいアクションは冒頭部分だけで、あとのアクションはやや不満の残るものに私はなりましたね。

個人的にダニエル・クレイグさんのボンドは好きなので、しばらくはやって欲しいと思います。時間とお金のある方は是非ご覧下さい。


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2012年12月27日

映画「人生の特等席」感想文



MOVIX清水での観賞です。

アトランタ・ブレーブスの老スカウトのガス(クリント・イーストウッド)は名選手を多数発掘し、名スカウトとしてチームからも周囲からも一目置かれた存在になっていた。しかし寄る年波には勝てず、身体は思うようにいかなくなって来た。ブレーブスの若手スカウトのフィリップ(マシュー・リラード)はパソコンで得られる情報を駆使し、めきめきと頭角をあらわしていた。しかしガスは一向に引退する気配を見せずにいた。同じチームの親友のピート(ジョン・グッドマン)が、ガスの娘のミッキー(エイミー・アダムス)に連絡を取り、ガスの様子を見て欲しいと依頼する。しかしミッキーは6歳で母親を亡くした後、自分を親戚に預けて好き勝手していた父親と良い関係ではなかった。33歳になった彼女は、弁護士として事務所の中でも認められた存在になり、現在任されている案件に勝利すれば事務所の経営に加われるようになっている重要な時期だった。しかし担当医師から父親の視力が失われつつある状況を聞き、案件を抱えながら父親の下に駆けつける。その時ガスはかつて自分がスカウトし、現在はレッドソックスのスカウトをしているジョニー(ジャスティン・ティンバーレイク)らとともに、若手有力選手のボー・ジェントリー(ジョー・マッシンギル)をドラフトで指名するかどうか判断していた。父親の目として選手を見るミッキーだったが、二人の間にはいざこざが絶えなかった。

俳優、監督として活躍しているクリント・イーストウッドが、およそ4年ぶりに主演を務めた感動作です。監督さんは17年間イーストウッドからじかに映画制作を学んだロバート・ロレンツ監督。主演の老スカウト役に「グラン・トリノ」のクリント・イーストウッド。その娘役に「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」のエイミー・アダムス。レッドソックスのスカウト役に「ソーシャル・ネットワーク」のジャスティン・ティンバーレイク。

さて役者としてのクリント・イーストウッドさんですが、スクリーンに現れたのは「グラン・トリノ」以来と言うことになります。この「グラン・トリノ」と言う映画は素晴らしかったのですが、それに同様に保守的で頑固な老人を演じています。当然のようにパソコンを扱わない、小便も思うように出ない、目も悪い、そんな老人でありながら、亡くなった妻の墓の前で「ユー・アー・マイ・サンシャイン」の歌詞をつぶやいたり、娘に絡む男に殴りかかったり、そんな色んな姿を見せてくれます。ただの頑固親父でない、家族への愛情が滲み出してきています。それからやっぱり足を運んで目で見て得られる情報の確実さと言うものを再認識されます。

ただ話の筋としてはあまり特出したものが無いように感じました。伏線もややわざとらしく、こいつの再登場があるなという感じがプンプンとあります。それから作品の盛り上がりも全体的にフラットな感じがします。それから落ちのところのジャスティン・ティンバーレイクさん、一言謝っても良かったんじゃないの?もし自分だったら恥ずかしくてあの場に顔を出せません。

クリント・イーストウッドさんの演技が突出している感はあるのですが、それを見るのもまた一興ではないでしょうか。時間とお金のある方はご覧下さい。


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2012年12月24日

映画「カラスの親指」感想文



シネマサンシャイン沼津での観賞です。

詐欺師のタケ(阿部寛)と、少し間抜けな相棒のテツ(村上ショージ)は競馬場や質屋相手などで小さな詐欺をはたらいていた。ある日二人が住むアパートの部屋から煙が上がっているのを見たタケは、テツを連れて逃げ出した。公園の築山の中で雨宿りをしながら、タケはテツに自分の過去を話し始めた。普通にサラリーマンをしていたタケは同僚の借金の保証人になり、返せなくなった同僚は逃亡、タケは闇金から取り立てられることとなる。厳しい取立てから会社も辞め、闇金の取立人として働くようになったタケは、幼い娘姉妹を持つ母親のところに取り立てに行ったが、母親は自殺をしてしまう。取立人の仕切り役のヒグチ(鶴見辰吾)は冷徹にそのことを扱ったが、タケは怒りからヒグチが持っていた書類を持って警察に駆け込んだ。その書類から闇金の組織は一網打尽にされてしまうが、タケはそのことから組織に追われ、ついには一人娘を不審火で失うこととなる。ついには詐欺師として裏の世界で生きていくことになったのだ。荒川沿いの一軒家に住むようになったタケとテツだったが、上野の繁華街でスリを働く少女に出会う。河合まひろ(能年玲奈)と名乗るその少女は、両親がいないまひろは生活苦からアパートを追い出されそうになっていた。そんな彼女にタケはアパートを追い出されたら自分の家に来るようにまひろに告げる。そしてある朝、まひろはタケ達の家にいた。それも姉のやひろ(石原さとみ)とその恋人の石屋貫太(小柳友)を連れて。奇妙な5人暮らしが始まったが、そんな彼らの周囲に不審な影が現れる。

「月と蟹」で直木賞に輝いた作家、道尾秀介の小説を映画化したものです。監督さんは「楳図かずお恐怖劇場 絶食」の伊藤匡史監督。主演の詐欺師役に「麒麟の翼 ~劇場版・新参者~」の阿部寛。その間の抜けた相棒役に「銀のエンゼル」の村上ショージ。スリを働く少女役に「告白」の能年玲奈。その姉役に「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」の石原さとみ。その恋人役に「阪急電車 片道15分の奇跡」の小柳友。闇金融業者の取立人の仕切り役に「MW‐ムウ‐」の鶴見辰吾。

さてさまざまな役を同じようなペースで見事にこなす阿部寛さんの安定感はさすがなのですが、この映画の核は村上ショージさんでしたね。関西弁を無理に抑えているせいか、基本的に演技も台詞回しも下手くそです。バラエティの「ガキの使い」で見るのとほとんど変わらない演技回しですが、その下手さ加減が最終的にこれで良かったんだという印象を持たせます。最近は妙に玄人っぽい芸人さんが多い中、非常に印象に残るものとなりました。それから女優さんもビッグネームの石原さとみさんより、その妹役の能年玲奈さんの印象が良かったですね。まぁ村上ショージさんも能年玲奈さんもセリフの多い役どころですからね。またストーリー性も二重底,三重底の構成となっていて、最終的に全てがわかって完全燃焼される感覚は、多少の突っ込みどころは忘れ去ってしまう感じです。メインキャラが大仕事をしたあとにこの作品の真骨頂があります。

ただ大仕事をしているときはもう少し緊張感のある演出ができなかったのでしょうか?あそこがもう少し緊張感があったら、それ以降のストーリーがもっと良いものになって、全体的なフラットな感覚がなくなるんじゃないかと思うのですが…。そして例によって原作を読んでいない私でも途中から人間関係が見えてきてしまって、落ちでもその意外性をほとんど感じられませんでした。もっともこれは原作か演出の意図なのかも知れませんが…。

映画が始まって一分でロケ地が川崎競馬場だとわかる自分にある種感激しました。時間とお金のある方は是非ご覧下さい。


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2012年12月22日

映画「悪の教典」感想文



TOHOシネマズ浜松での観賞です。

高校教師の蓮実聖司(伊藤英明)は軽快で楽しい授業に加え、生徒の悩みなどの相談にも乗ってくれる先生だった。またイジメがあるのではないかという親の意見も堂々と対処し、そして教師の間でも生徒指導やテストのカンニング対策などでも、積極的に意見を出すなど信頼されていた。ただ無線部の顧問だった教師の釣井正信(吹越満)は、自身の歪んだ性格からみた蓮見のさわやかさに違和感を感じないでいた。むしろ同じような感覚でいたのだ。釣井は蓮見の過去を洗い始める。一方カンニング事件では蓮見の担当クラスの暴れ者の蓼沼将大(KENTA)と別クラスの早水圭介(染谷将太)が中心人物であると蓮見は知ることとなる。また美術教師の久米剛毅(平岳大)と美術部の生徒の前島雅彦(林遣都)が同性愛をしている事実も掴んだ。蓮見は学校の中で他人の弱みを握り、その力を少しづつ強いものにしていった。また体育教師の柴原徹朗(山田孝之)に万引きで脅された女生徒の安原美彌(水野絵梨奈)と救い出し、蓮見に惹かれた安原はその想いを打ち明け、二人は男女関係となる。そして蓮見は生徒の間の裏掲示板の存在を聞き出す。そして蓮見の周りの人間に異変が起こり始める。蓮見にイジメのことでさんざん意見した生徒の父親が焼死する事件があった。またその事件で蓼沼が家に火をつけたという裏掲示板の書き込みを見てキレて暴れた蓼沼が、その夜から行方不明になったのだ。

「黒い家」「青の炎」などで知られる貴志祐介のベストセラー小説を実写化したサスペンスです。監督さんは「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」の三池崇史監督。主演の殺人鬼と化す教師役に「アンダルシア 女神の報復」の伊藤英明。主人公が勤務する学校の二年生役に「アントキノイノチ」の染谷将太、「パレード」の林遣都、「ヒミズ」の二階堂ふみ。

さて某アイドルグループの真ん中の女性が「この映画嫌い」と言って話題になりましたが、ヤラセ云々はともかくそう言った評価が出るのは作り手側として成功のような気がします。確かに高校生たちが次々と殺されていく有様は決して気持ちの良いものではありません。しかし物理的凶器を使う使わないはともかく、人間同士が安易に傷つけあっている世の中であることは事実のような気がします。善人の仮面を被って裏では…。恐いですねぇ。また三池監督らしいテンポの良さも感じました。「マック・ザ・ナイフ」のメロディに乗っての凶行のシーンはミュージカル的でもあります。それから下手すれば主人公側のような危うい演技を見せる林遣都さんが、ややイメージと違うような役柄を与えられたのも興味深く思いました。

ただ表面をなでて観ているだけでは裏で訴えられていることがほとんど見えず、ただ凶行が行われる残虐な映画にしか捉えることができなくなると思います。そう言った意味では非常に難解な作品と言えると思います。それから生徒たち、特に女生徒の区別がオジサンには難しかったです。もっともこれがわかれば、某アイドルグループの個人名を覚えるのなんか容易いのかもしれませんが。

スクリーンの中の凶行より、後ろの席で大きな声で感想を述べる男子中学生(おそらく)の方がよっぽど不快でした。そこそこの気持ちを持って観に行きましょう。時間とお金のある方はご覧下さい。


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2012年12月21日

映画「最強のふたり」感想文



TOHOシネマズ名古屋ベイシティでの観賞です。

パリのスラムに住む黒人青年ドリス(オマール・シー)。複雑な家庭環境に育ち逮捕歴もある彼は、生活保護を受けるために必要な「不採用通知」をもらうため、ある面接にやってきた。それは大富豪のフィリップ(フランソワ・クリュゼ)の介護の仕事だった。フィリップは不慮の事故のために首から足の先までが麻痺し、動かすことはもちろん感覚さえも失っていた。しかし現代医学の力で、投薬と体のメンテナンスさえしっかりしていれば70歳まで生きていられるようになっていた。しかしその仕事は大変な重労働で、その仕事に採用したされたものは数週間で辞めていった。介護士としての実績や自分の能力をアピールする希望者の中でドリスだけは違っていた。ぶっきらぼうな言動で不採用通知をくれと言い、フィリップの秘書に色目を使い、そのフィリップを見ても「変わったオッサン」くらいにしか感じていなかった。必要な書類を明日渡すといわれ帰宅したドリスだが、狭いアパートにはたくさんの「兄弟」達であふれかえっていた。そしてビルの清掃員の仕事から帰ってきた母親は、働きもせずに生活保護で暮らしている「息子」のていたらくに怒り、ドリスは家を追い出されてしまう。翌日フィリップの屋敷に書類をもらいに行ったドリスは、フィリップから試用期間の採用を通知される。住み込みで働くこととなったドリスだったが、主人のフィリップとは趣味も性格もかけ離れていた。しかし二人の間には強い信頼関係が築かれていく。

車いすで生活している大富豪と介護者として雇われた黒人青年が垣根を越えて友情を結ぶ、実話を基にしたヒューマン・コメディー。監督さんは本作が長編4作目となるエリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュのコンビ。主演の障害を持つ大富豪役に「PARIS(パリ) 」のフランソワ・クリュゼ。その介護をする黒人の青年役に「ミックマック」のオマール・シー。

さて重度の障害を持った人間がメインキャストの一人に据えているのですが、ほとんど暗い雰囲気にならないのがこの映画のポイントでしょう。それはオマール・シー演ずる青年が障害者の主人を介護するのですが、障害者としての同情心が皆無です。同情されることを嫌う障害者さんの話は一般的によく聞く話なのですが、こう言ったことが障害者である主人がぶっきらぼうな使用人に心の中を素直に打ち明けられる関係を構築できたのだと思います。それから下ネタあり、効果的に使われる音楽あり、ややカーチェイスありでなかなか映像的にも楽しませてくれます。日本では無名な黒人俳優のオマール・シーですが、心に秘めた淋しさを他人には見せず、おせっかいで明るくスケベなキャラクターを非常に好演していると思います。

ただ黒人青年の家族はどういった関係になったんだろ?ヒントは出てくるのですが、もう少し突っ込んでも良かったのかなと思いました。それからマリファナのくだりはどうかな?それから進行が全体的にフラットな気がします。やや途中で飽きてくる感が無いではありません。ただクライマックスでそれが生きてくる気がしますが…。

冒頭のシーン、またクラシック音楽の後で使われるアース・ウィンド・アンド・ファイアの曲。何かすごく良かったな。時間とお金のある方は是非ご覧下さい。


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2012年12月18日

映画「ロックアウト」感想文



MOVIX清水での観賞です。

21世紀後半のアメリカ。CIA捜査員のスノー(ガイ・ピアース)は極秘の任務に当たっていた。それは機密書類の入ったブリーフケースを奪還するものだったが、身内の裏切りにあい仲間を殺される。ブリーフケースを別の仲間に渡したスノーだったが、当局によって逮捕される。それはスノーが仲間を殺害した犯人に仕立て上げられたのだった。無実を主張したスノーだったが、目撃者がCIAの高官だったため有罪になり「MS1」刑務所に送られることとなる。重犯罪者が送られる刑務所「MS1」は大気圏外に存在し、収容される犯罪者は冷凍睡眠により眠らされたまま収監される。そのため多数の犯罪者を収容でき、脱獄も不可能となっていた。しかし冷凍睡眠による収監は人間としての様々な機能を失う恐れがあり一部で問題視されていた。そのことで人権団体のメンバーとして「MS1」を訪れたアメリカ大統領の愛娘エミリー(マギー・グレイス)は犯罪者の一人を睡眠から覚めさせ調査をしていた。しかしエミリーのボディーガードの油断から犯罪者に拳銃を奪われ、ついには収監されていた500人の犯罪者が覚醒し「MS1」を制圧することになる。娘の心配をする大統領はCIAの高官の進言により、「MS1」の送られることとなっていたスノーをエミリー救出のために送り込む事にした。しかしスノーが「MS1」に向かう理由はもう一つあったのだ。

囚人たちの暴動が発生した宇宙刑務所を舞台に、彼らの人質となった大統領の娘を救い出す指令に挑む元CIAエージェントの活躍を、息詰まるタッチで追うSFアクションです。製作は「レオン」などのメガホンをとったリュック・ベッソン。監督さんは短編やテレビシリーズで活躍してきたステファン・サン・レジェとジェームズ・マザー。主演のCIAエージェント役に「プロメテウス」のガイ・ピアース。大統領の娘役に「ナイト&デイ」のマギー・グレイス。

さてリュック・ベッソンらしいテンポの良い作りとなっています。主演のガイ・ピアースさんは自分が過去に観た彼の出演作品に比べて、口数は多いものの男らしく見えました。そして何よりも1時間半くらいの映画で登場人物も少なく、展開もわかりやすい作品に仕上がっているのは、軽い気持ちで映画を観るといったシチュエーションにはうってつけだと思います。ある評価ではB級映画らしいというコメントがありますが、作り手の狙いはここにあるんじゃないかなと思ったりもします。

まぁ前出の通りB級映画ですので、話の展開は非常に雑だと思います。まぁそこは目をつぶるとしても、私個人としてどうかと思ったのはCGの処理があまりに稚拙な気がします。始めの方のカーチェイスのシーンはほとんどどんな展開が行われているのかわからなかったし、宇宙空間の戦いも最初のスターウォーズレベルの感じがします。もっとも最初のスターウォーズは特撮だったんですがね。

まぁ時間つぶしにはうってつけの作品だと思います。時間とお金のある方はご覧下さい。


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2012年12月16日

映画「黄金を抱いて翔べ」感想文



シネプラザ・サントムーンでの観賞です。

裏社会で生きてきた幸田(妻夫木聡)は大阪にやってきた。同級生だった北川(浅野忠信)にある計画を持ちかけられたのだった。それは大阪にある銀行の地下三階の金庫に眠る1トンもの金の延べ棒を強奪するといったものだった。北川からは仲間としてその銀行のシステムに携わったシステムエンジニアの野田(桐谷健太)と言う男を紹介される。野田は女とのトラブルで大きな金が必要だったのだ。そして北川の弟で生きる理由も見つけられず、日常的にリストカットをしている春樹(溝端淳平)も仲間に加わる。そして野田の紹介で銀行のエレベーターのメンテナンスをしたことのある斉藤(西田敏行)も「アドバイザー」として計画に関わることになる。しかし計画には時限爆弾が必要であり、北川は爆弾に詳しい人間がいないか幸田に尋ねる。幸田には心当たりがあった。それは偶然のものだった。幸田は以前東京でテロ攻撃に関わったであろう朝鮮人の男を近所で見かけたのだった。その男は北朝鮮のスパイだったチョウ・リョファン(チャンミン)と言う男だった。彼は北朝鮮から彼を殺しに来た実の兄を殺し、北の当局からもまた日本の公安やテロを企てる組織からも狙われていた。北川のグループは「モモさん」とあだ名されたチョウ・リョファンを匿う代わりに計画への参加を促した。モモさんも彼らのグループ、特に幸田に心を開き計画に加わった。計画は順調に進むのだったが、彼らの周囲に様々な問題が発生していく。

日本推理サスペンス大賞に輝く高村薫のデビュー小説を実写化したクライム・ムービーです。監督さんは「岸和田少年愚連隊」の井筒和幸監督。主演の裏社会を渡り歩いてきた男の役に「マイ・バック・ページ」の妻夫木聡。金塊強奪計画をぶち上げる男の役に「終の信託」の浅野忠信。その弟の役に「麒麟の翼 ~劇場版・新参者~」の溝端淳平。計画に関わるSE役に「アウトレイジ ビヨンド」の桐谷健太。やはり計画に関わる元エレベーター技師役に「探偵はBARにいる」の西田敏行。北朝鮮の元スパイで爆弾のプロ役に東方神起のチャンミン。

さて良くも悪くもザックリした作りになっています。映画が始まった時点で結構開けっぴろげに計画がスタートしています。そこからの計画に乗せていくスピード感がある展開になっています。その間に北のスパイや計画の首謀者の周りに起こる様々な出来事にも屈せず計画が進んでいき、実際の計画遂行も非常にスリリングな進行となっています。実力のある役者さんを配し、彼らが持っている力量をいかんなく発揮していますし、映画初出演の東方神起のチャンミンも思ったよりいい演技を見せてくれていると思います。

ただ悪いザックリ感も如実に出てきています。基本荒唐無稽なお話なのですが、銀行強盗計画にしては緻密な部分が皆無と言っていいと思います。これは原作のせいなのか、脚本のせいなのかは例によって原作を読んでいない自分にはわからないのですが、30分アニメのルパン三世でももう少し緻密な気がします。まぁセリフにも出てくる「繊細だけど大胆」な作品かも知れませんがね。あと劇画原作者の小池一夫先生がおっしゃるところの「キャラが立っていない」と感じます。ラジオで井筒監督が出演されてパーソナリティの方が言っていたキャラのディティールの説明が無かったら溝端淳平さんのキャラもわからなかったし、観た後にネットのレヴューを見て「あ、この人こんなんだったんだ」と思うことがたくさんありました。どこかでそれを訴えているのかも知れませんが、僕にはそれがわからなかったです。

すごく物足りなさを感じた一本だったと思います。時間とお金のある方はご覧下さい。


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2012年12月12日

しみず寄席にメールでお問い合わせをいただいた方へ(お詫び)

第7回しみず寄席についてメールでお問い合わせをいただいた皆様にお詫び申し上げます。

メールでお問い合わせいただいた方の何件かが返信できていない事実が発覚いたしました。

これは私の不手際以外の何物でもありません。

私ども清水落語王国のメールアドレスにもたくさんの迷惑メールが入るようになってきました。
そこで今年の夏ごろ迷惑メールの振り分けの設定をいたしました。
しかしその設定に不手際があり、TwitterやFacebookの連絡、またはメルアドが登録されているもの以外を迷惑メールに振り分けるようになっておりました。
そのためお問い合わせをいただいたメールの多くが迷惑メールに振り分けられていることがわかりました。

Web管理人を名乗っておきながら全く恥じ入っております。

お問い合わせをいただいた方、本当に申し訳ございませんでした。

次回以降のメールでの問い合わせ方法を再度検討させていただきます。
場合によっては今までのメールアドレスを変更することも考えております。

返信の無かったことでお問い合わせをいただいた方は大変お怒りだと思います。

今後このようなことを起こさないために最善の対策をしてまいります。

本当に申し訳ございませんでした。  


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2012年12月11日

映画「北のカナリアたち」感想文



藤枝シネ・プレーゴでの観賞です。

東京の図書館。20年間ここで働いて定年を迎えた川島はる(吉永小百合)。帰宅した彼女に2人の刑事が自宅を訪れた。彼らは殺人事件の重要参考人を追っていた。その人物は鈴木信人(森山未來)。彼女が20年前に北海道の離島の分校で教えていた教え子だった。彼が何故殺人事件を起こしたのか?その理由を確かめるためにはるは北海道を訪れた。鈴木信人と同じ時期に教えていたのは6人の児童だった。はるはそのうち毎年手紙を送ってくる戸田真奈美(満島ひかり)のもとを訪れた。20年ぶりに会う師弟だったが、真奈美の口から出てきたのは謝罪の言葉だった。20年前、街の助役をやっている父親の堀田久(里見浩太朗)の依頼で分校に教師としてやってきたはる。彼女は夫の川島行夫(柴田恭兵)を連れ港に立ったはるに6人の児童が会いに来ていた。離島の分校と言うことでやる気の無かったそれまでの教師と違い、はるは情熱を持って児童に接していた。そしてひょんな事から6人全ての児童が歌が上手いことに気がつく。6人のコーラスを始め、ついには札幌の大会に出場するまでになっていた。しかし女子パートのソロを担当する安藤結花(飯田汐音:成人後は宮崎あおい)の声が出なくなっていた。大会が近づくストレスだろうと、はるの夫の行夫の提案で海岸でバーベキューをすることになった。しかしそこで事故は起こる。海に落ちた結花を助けようとした行夫が帰らぬ人となる。真奈美の謝罪は結花が海に落ちたのは自分のせいであると告げ始めたのだ。

「告白」の原作者である湊かなえの小説「往復書簡」の一編「二十年後の宿題」を映画化したヒューマン・サスペンスです。監督さんは「亡国のイージス」の阪本順治監督。主演の元女性教師役に「母べえ」の吉永小百合。殺人の容疑をかけられる教え子役に「世界の中心で、愛をさけぶ」の森山未來。成長した教え子役に「スマグラー おまえの未来を運べ」の満島ひかり,「阪急電車 片道15分の奇跡」の勝地涼,「わが母の記」の宮崎あおい,「20世紀少年<最終章> ぼくらの旗」の小池栄子,「探偵はBARにいる」の松田龍平。

さて教師と教え子のある出来事をきっかけに、わだかまりを残しつつ邂逅に向かっていく様を描いています。子供は子供、大人は大人で環境や恋愛や友情などで色んなものを引きずっていく個々の生き方が良く表現されていると思います。ベテラン若手共に実力のある俳優さんたちを多く使い、厚みが非常に増しています。中でも森山未來さんの演技は光っていました。現在絶好調の感がありますね。また今回オーディションで選ばれた子供たち。カチンコの意味から教えられた子供達なので、学芸会の延長のような演技は否めませんが、それがかえって島の子供たちの素朴な感じがあって良かったなと思いました。

阪本順治監督があるラジオ番組で言っていた事なのですが、監督の作品を観た森山未來さんに「中途半端ですね」と言われたようですが、この作品でもその感覚は否めません。何となくもっとやりようがあったと思うのですが…。強烈な原作とキャストなのですから、もっとガンと訴えかけるものが欲しかった気がします。また主演の吉永小百合さんは年齢のわりにはキレイで40代を演じることは可能かなと思ったのですが、やはりやや無理があったかな…。でも大目に見たいと思います。

吉永小百合さんと松田龍平さん、柴田恭兵さんと仲村トオルさん。何となく映像の因縁を感じます。時間とお金のある方は是非ご覧下さい。


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2012年12月07日

映画「エクスペンダブルズ2」感想文



MOVIX清水での観賞です。

ネパールで誘拐された中国人資産家の救出の依頼を受けたバーニー(シルヴェスター・スタローン)率いる傭兵部隊エクスペンタブルズ。そこで彼らは中国人資産家と、彼らと同じ目的で潜入しながらも捕われた傭兵のトレンチ(アーノルド・シュワルツェネッガー)を救い出した。ミッション終了後アメリカの帰ったメンバーたちはつかの間の休息を楽しむのだが、バーニーの前にCIAのチャーチ(ブルース・ウィリス)が現れる。彼は以前バーニーらから受けた損失の「貸し」を帳消しする代わりにあるミッションを伝えた。アルバニア山中で中国機が墜落した。その中には重要なものがケースに入って金庫に納められているという。それを回収することだった。そしてそのミッションには暗号解読のプロのマギー(ユー・ナン)を連れて行くことも条件の一つだった。ミッションを引き受けたバーニーはメンバーを引き連れてアルバニアへと向かう。山の中で墜落機を見つけた彼らは、マギーの力で金庫を開け「ケース」を手に入れたが、その帰路に偵察に行ったメンバーのビリー(リアム・ヘムズワース)が武装集団に捕われてしまう。集団のリーダーのヴィラン(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)はビリーの身柄と引き替えに「ケース」を手に入れたが、約束を守らずビリーはヴィランに殺されてしまう。マギーから「ケース」の中身がプルトニウムのありかを知らせる地図であることを知らされたバーニーは、ビリーの敵討ちとミッション完遂のためヴィランのもとに向かう。

アクション・スターが一堂に会した超大作「エクスペンタブルズ」の続編です。監督さんは「トゥームレイダー」のサイモン・ウェスト監督。主演の傭兵部隊のリーダー役に「クリフハンガー」のシルヴェスター・スタローン。その他前作から引き続きジェイソン・ステイサム,ジェット・リー,ドルフ・ラングレン,ブルース・ウィリス,アーノルド・シュワルツェネッガーらに加え、新しいキャラクターとして、敵集団のリーダー役に「レプリカント」のジャン=クロード・ヴァン・ダム。一匹狼の傭兵役に「デルタ・フォース」のチャック・ノリス。主人公集団の若い傭兵役に「ハンガー・ゲーム」のリアム・ヘムズワース。

さて前作で「船頭多くして…」的なイメージを持ったのですが、この続編では個々のキャラクターが鮮烈に生かされていて印象に残ります。今回はスタローンがメガホンを取らずに、職業監督のサイモン・ウェスト監督がメガホンを取ったのが良かったのでしょうかね。アクションシーンもさすがの感じがしましたね。ジェイソン・ステイサムは相変わらずの身体のキレですし、ドルフ・ラングレンの「らしい」キャラも非常に特徴的でした。またスタローン,シュワルツェネッガー,ブルース・ウィリスが一つのフレームに収まったシーンは何て豪華なんだろうって思いましたね。ストーリー的にも深く考えなくて良いもので、「娯楽映画」として楽しめる作品に仕上がったと思います。

非常にスピード感があるアクションではあるのですが、スタローンらしい「力勝負」のシーンがもう少しあったらと感じました。特に親分同士の一騎打ちではそう言ったシチュエーションであったにも関わらず非常な物足りなさを感じました。そのせいか前作に比べてスタローンが老けた感じがするんですよね。

前作より確実に良くなっています。この調子で行けば「3」もそこそこのものに仕上がるかな?時間とお金のあるアクション好きの方は是非ご覧下さい。


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2012年12月05日

映画「終の信託」感想文



TOHOシネマズららぽーと磐田での観賞です。

呼吸器内科の医師である折井綾乃(草刈民代)は患者からの信頼も篤い女医だった。彼女は同じ病院の医師の高井則之(浅野忠信)と不倫関係にあった。しかし綾乃は高井が妻とも違う女と共に海外出張に行く姿を見てしまう。帰国した高井を問いただす綾乃だが、高井はそんな彼女を軽くあしらってしまう。失意の彼女は睡眠薬による自殺を図るが病院内だったため、発見され未遂に終わった。現場に復帰した綾乃は担当の患者である江木秦三(役所広司)から救われるような言葉や行為をたくさん受けた。江木は20年以上にわたり喘息の発作に苦しんでいた。彼は自分の病状を日記につづり、それは綾乃の治療の役に立っていた。そんな中、江木の病状は徐々に悪化していき、死に至るような発作も度々起こっていた。そして入退院を繰り返していた江木はある時綾乃に依頼をした。近いうちに自分に死が訪れるかもしれない。その時は既に視覚を失い、言葉も失っているだろう。チューブを繋がれたままの肉の塊にはなりたくない。莫大な費用もかかり家族にも迷惑がかかる。自分がそういう状態に陥ったら、先生の判断で自分を楽にして欲しい。そしてその時には、かつて満州で死んだ妹に両親が唄ってあげた子守唄を歌って欲しいと。綾乃はそれを了承する。その後、江木は病院に心肺停止の状態で運ばれてくる。

重度のぜんそく患者と恋に落ち、彼の願いから延命治療を止めた行動を殺人だと検察に追及される女医の姿を見つめる、法律家でもある朔立木の小説を実写化したラブストーリーです。監督さんは「それでもボクはやってない」の周防正行監督。主演の女医役に「Shall we ダンス?」の草刈民代。彼女を信頼する患者役に「最後の忠臣蔵」の役所広司。彼女を被疑者として追及する検察官役に「ミッドナイト イーグル」の大沢たかお。不倫関係にあった医師役に「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」の浅野忠信。

さて「それでもボクはやってない」でも問いかけた、いつ自分の身に降りかかるかわからない重たいテーマをまたもや描いております。特に日本人にありがちな「意識が無いのにただ生きていたくない」と思うことが、きちんとした「手続き」をしていないと残された人たちが不幸になる。周防監督はラブストーリーとしてこの映画を作ったようですが、正直同じようなことを考えている人たちには、こちらの方がインパクトがあるように感じます。主演の草刈民代さんの医師と男を愛する女の狭間の中で決断をせまられる女性の演技もそうですが、男優陣のある種の「いやらしさ」を出してくる演出も見ものです。浅野忠信さん演ずる医師の男としてのいやらしさ、大沢たかおさん演ずる検事の職業人としてのいやらしさ、役所広司さん演ずる喘息患者の理想の最後を演出しようとするある意味のいやらしさ。これらが何とも言えず人間臭さを醸し出しています。

ただなんと言うのかな、希望って言ったらいいんでしょうか、そんな明るい兆しが無いような感じがするんですよ。全体的にフラットにストーリーが進行するような気がします。これは結構観る側としては辛いものがあります。そして監督がおっしやる「ラブストーリー」感が裏側を探らないと出てこない気がするんですよね。「Shall we ダンス?」のほうがわかりやすい気がします。

良くも悪くも周防監督らしいなと思いました。映画としては色んなファクターがあって面白いと思います。時間とお金のある方はご覧下さい。


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