2014年01月14日

映画「フローズン・グラウンド」感想文



2013年、シネプラザ・サントムーンでの観賞です。

1983年のアラスカ・アンカレッジ。モーテルに一人の娼婦が逃げ込んできた。娼婦の名はシンディ(ヴァネッサ・アン・ハジェンズ)。彼女は何かに怯え、叫び散らしていた。警官に保護されたものの、事情聴取を受けたあと釈放される。アンカレッジの市警は娼婦の証言が信用できなかったのだ。同じ頃アラスカの山中で少女の死体が発見される。熊に食べられた痕跡のあるその遺体は銃で殺されたものであった。アラスカの州警察の巡査部長であるジャック・ハルコム(ニコラス・ケイジ)は近いうちに石油会社への転職が決まっていたが、この事件の捜査を担当することとなる。家族のため転職を希望していたジャックだが、もともと正義感の強い性格のためか、捜査にのめりこんでいく。ジャックは捜査を進めていくうちに、同じような状況で何人もの女性が行方不明になっていることに気がつく。そして同じような状況でシンディの事件が起こったことを知る。解決済みの事件をほじくり返すことに市警は抵抗するが、ジャックはシンディに会うことに成功する。そしてこの事件にアンカレッジの有力者であるボブ・ハンセン(ジョン・キューザック)の名が浮上する。しかしハンセンがこの罪を犯したという物的証拠は何も出てこない。シンディはハンセンに会うことを恐れ、裁判で証言することを拒否している。尋問や法廷でも模範的な市民と娼婦の証言では状況は不利になる。ジャックは物的証拠を得ようと捜査を進める。一方シンディは街の女性の勧めもあって、娼婦からショーパブのダンサーへ転身を図ろうとしていた。ある時パブの客の中にハンセンの姿を見て取り乱す。そしてハンセンもシンディの存在に気がついた。

1980年代にアメリカで起こり、人々に衝撃を与えた実際の連続猟奇殺人事件を映画化したものです。監督さんは本作で長編デビューを果たすスコット・ウォーカー監督。主演のアラスカ州警察の捜査官役に「ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記」のニコラス・ケイジ。連続殺人を犯す男役に「2012」のジョン・キューザック。殺人鬼から逃げ出す娼婦役に「センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島」のヴァネッサ・アン・ハジェンズ。

さてヤバめの連続殺人を題材にしたものですが、こういった境遇の女性をターゲットにすると、ここまで事件の発覚が遅れ、犯罪が続いていくものなのかと少し背筋が寒くなります。後半の犯人を追い詰めていくあたりはなかなかの迫力と、物的証拠がなかなか出てこない犯人との対決は息を呑むものがありました。それにしてもジョン・キューザック演じる犯人は良かったと思います。冷静に決定的な証拠を残さず尋問にも対応していく反面、罪を犯す際の冷徹な中、自分の欲望を満たす狂気がにじみ出ていると思いました。

それにしても作品の前半部分のごちゃごちゃ感。これは何とかならなかったのかなぁ。どのキャラクターが重要人物なのかが良くわからなかったです。演出によるのですが、こういった作品は大概脇役でも重要なポジションにいるキャラクターというのが出てきます。ニコラス・ケイジやジョン・キューザックは見ていて重要だと分かりますし、娼婦役のヴァネッサ・アン・ハジェンズも重要だろうと思います。その他のキャラを気にかけようとしているのですが、ごちゃごちゃ感が非常に邪魔をしてきます。まぁ結局三人さえ押さえておけばOKなのですが…。

ネットの評価は低いですが、金をかけた2時間ドラマくらいの楽しみはあったと思います。時間とお金のある方はご覧ください。


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2014年01月13日

映画「凶悪」感想文



2013年、MOVIX清水での観賞です。

雑誌記者の藤井修一(山田孝之)は妻の洋子(池脇千鶴)と認知症の母親との3人暮らしだったが、母親のことは妻に任せて取材に駆け回っていた。ある日、偶然回ってきた情報の真偽を確かめるため拘置所に赴いた。面会する相手は裁判で死刑が確定し、上告中の強盗殺人班の須藤純次(ピエール瀧)だった。須藤は藤井に面会すると驚くべき告白をしてきた。罪に問われた事件のほかに3つの殺人を犯していることだった。そしてそれは「先生」と呼ばれる不動産コンサルトの木村孝雄(リリー・フランキー)そ指示のもとにやったとのこと。須藤は自分が死刑判決を受けているにもかかわらず、指示をした木村がシャバでのうのうと暮らしているのが許せなかったのだ。しかし須藤の証言は記憶のあいまいさで的を得ていなかった。そのため藤井の取材は困難に陥った。とりあえずまとめた取材ノートを上司の芝川理恵(村岡希美)に見せるが、不動産コンサルタントとヤクザのトラブルなど部数が伸びるネタでは無いと却下される。記事にできない旨を須藤に話すと、それまでおとなしく話していた須藤は激高する。須藤の迫力に押された藤井は、会社の指示を無視してこの事件を本気になって追い始める。しかしそれは須藤が家庭を顧みない状況となることであった。認知症の母親は洋子の言うことを聞かなくなり、さらには洋子のことを殴るところまでエスカレートしてきた。洋子は藤井にSOSを出し続けるが、藤井はブンヤの正義感による事件の取材に夢中で言葉半分にしか聞こえなかった。そして藤井は事件の真相を解明し始める。

ベストセラーノンフィクション「凶悪-ある死刑囚の告発-」を映画化したものです。監督さんは「ロストパラダイス・イン・トーキョー」の白石和彌監督。主役のジャーナリスト役に「のぼうの城」の山田孝之。衝撃の告白をする死刑判決を受けた暴力団幹部の男役に「落語物語」のピエール瀧。その暴力団幹部を使って金目当ての殺人を起こす不動産コンサルト役に「ぐるりのこと。」のリリー・フランキー。主人公の妻役に「丘を越えて」の池脇千鶴。

さて見ているうちに誰が悪いのか、そんな程度の差が麻痺してくるような作品です。確かに悪役2人とその取り巻きは悪い。しかし衝撃的なのは介護に追われた挙句吐かれた主人公の妻の一言だったりする。これはどんな人でもこれも程度の差はあれ「こいつ死んで欲しい」と思うときが去来することを意味しています。問題はそこをやってしまうかどうかの話なんですよね。人間の怖さを感じます。それにしても純粋な役者ではないピエール瀧さんとリリー・フランキーさんの悪いこと(^_^;)穏やかな中で時折見せる狂気、またおふざけ感覚で殺しを楽しむ狂気。その反面、裏切られたくない弱さや、身内に対して面倒見の良い姿。様々な部分を見せてくれています。

ただ話の設定としてはどうかなぁ。ピエール瀧さん演ずる暴力団幹部が告白するまでも無く、様々なことが表沙汰になっていて、これが本当に事件にならないのかが少々疑問に思います。それからねぇ、ラストシーンが自分的には非常に好みではありませんでした。そんなことはあんたに言われなくても解っているよ、もっと観る側に息を呑むようなシーンが欲しかった気がします。

基本的に2時間強の作品ではありましたが、時間を感じずに観ることができました。人をいたぶるシーンは少々「イタタタタ」ってところはありますが、そんなに目を覆うようなことはありませんでしたよ。時間とお金のある方は是非ご覧ください。


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