2012年12月05日
映画「終の信託」感想文

TOHOシネマズららぽーと磐田での観賞です。
呼吸器内科の医師である折井綾乃(草刈民代)は患者からの信頼も篤い女医だった。彼女は同じ病院の医師の高井則之(浅野忠信)と不倫関係にあった。しかし綾乃は高井が妻とも違う女と共に海外出張に行く姿を見てしまう。帰国した高井を問いただす綾乃だが、高井はそんな彼女を軽くあしらってしまう。失意の彼女は睡眠薬による自殺を図るが病院内だったため、発見され未遂に終わった。現場に復帰した綾乃は担当の患者である江木秦三(役所広司)から救われるような言葉や行為をたくさん受けた。江木は20年以上にわたり喘息の発作に苦しんでいた。彼は自分の病状を日記につづり、それは綾乃の治療の役に立っていた。そんな中、江木の病状は徐々に悪化していき、死に至るような発作も度々起こっていた。そして入退院を繰り返していた江木はある時綾乃に依頼をした。近いうちに自分に死が訪れるかもしれない。その時は既に視覚を失い、言葉も失っているだろう。チューブを繋がれたままの肉の塊にはなりたくない。莫大な費用もかかり家族にも迷惑がかかる。自分がそういう状態に陥ったら、先生の判断で自分を楽にして欲しい。そしてその時には、かつて満州で死んだ妹に両親が唄ってあげた子守唄を歌って欲しいと。綾乃はそれを了承する。その後、江木は病院に心肺停止の状態で運ばれてくる。
重度のぜんそく患者と恋に落ち、彼の願いから延命治療を止めた行動を殺人だと検察に追及される女医の姿を見つめる、法律家でもある朔立木の小説を実写化したラブストーリーです。監督さんは「それでもボクはやってない」の周防正行監督。主演の女医役に「Shall we ダンス?」の草刈民代。彼女を信頼する患者役に「最後の忠臣蔵」の役所広司。彼女を被疑者として追及する検察官役に「ミッドナイト イーグル」の大沢たかお。不倫関係にあった医師役に「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」の浅野忠信。
さて「それでもボクはやってない」でも問いかけた、いつ自分の身に降りかかるかわからない重たいテーマをまたもや描いております。特に日本人にありがちな「意識が無いのにただ生きていたくない」と思うことが、きちんとした「手続き」をしていないと残された人たちが不幸になる。周防監督はラブストーリーとしてこの映画を作ったようですが、正直同じようなことを考えている人たちには、こちらの方がインパクトがあるように感じます。主演の草刈民代さんの医師と男を愛する女の狭間の中で決断をせまられる女性の演技もそうですが、男優陣のある種の「いやらしさ」を出してくる演出も見ものです。浅野忠信さん演ずる医師の男としてのいやらしさ、大沢たかおさん演ずる検事の職業人としてのいやらしさ、役所広司さん演ずる喘息患者の理想の最後を演出しようとするある意味のいやらしさ。これらが何とも言えず人間臭さを醸し出しています。
ただなんと言うのかな、希望って言ったらいいんでしょうか、そんな明るい兆しが無いような感じがするんですよ。全体的にフラットにストーリーが進行するような気がします。これは結構観る側としては辛いものがあります。そして監督がおっしやる「ラブストーリー」感が裏側を探らないと出てこない気がするんですよね。「Shall we ダンス?」のほうがわかりやすい気がします。
良くも悪くも周防監督らしいなと思いました。映画としては色んなファクターがあって面白いと思います。時間とお金のある方はご覧下さい。
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Posted by 清水落語王国Web管理人 at 00:06│Comments(0)
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