2012年04月09日

映画「戦火の馬」感想文

映画「戦火の馬」感想文

MOVIX清水での観賞です。

1900年代初頭のイギリス。大地主の小作人として働くテッド(ピーター・ミュラン)は馬のセリで一頭のサラブレッドに目を奪われる。もともと農耕馬を落札にきた彼だったが、彼の地主とのセリで予算を大きくオーバーしてその馬を落札する。馬を連れ帰宅したテッドは妻のローズ(エミリー・ワトソン)に罵られるが、息子のアルバート(ジェレミー・アーヴァイン)は非常に喜んだ。アルバートはこの馬が生まれたときから目を奪われていたのだ。調教を買って出たアルバートは、この仔馬を「ジョーイ」と名付けた。彼は気性の荒いジョーイをだんだんと手の内に入れていった。しかしジョーイを落札した金額がテッドの一家に重くのしかかってきた。地主は支払いができなければ、馬を引き揚げ、小作人としての関係も断ち切ることを通告してきた。テッドは地主に対して、荒れた土地を耕し、そこに農作物を植え、それを売った金で借金を返済することを申し出、受諾される。しかし岩がごろごろしているその土地を耕すのは困難を極めた。アルバートはジョーイに農器具を引かせようとするが、もともとそういった作業に向かないサラブレッド。しかし苦難の末、その土地を耕すのに成功する。しかし大雨がその土地になった作物を全部ダメにしてしまう。そんな中、第1次世界大戦が勃発する。イギリスはドイツに宣戦布告し、若者は戦地に向かうため次々と志願していく。そして打つ手を失ったテッドは、アルバートに黙って青年将校にジョーイを売りに出す。

1982年にマイケル・モーパーゴが発表し、舞台版は第65回トニー賞で5部門に輝いたイギリスの小説を映画化したものです。監督はおなじみ「宇宙戦争」のスティーヴン・スピルバーグ。運命の馬を調教する少年役に新鋭のジェレミー・アーヴァイン。その父親役に「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」のピーター・ミュラン。母親役に「脳内ニューヨーク」のエミリー・ワトソン。

さて馬関係の映画を観るのは「シービスケット」以来です。競馬好きな自分としては戦場に行く馬の話ですので、やや二の足を踏んでいた部分があったのですが。競馬のいろんなエピソードを聞いたりして思うのは、馬が走る舞台でもそれを感動付けるのは人間物語であると言うことです。この話も戦場で翻弄される馬たちに関わる人間たちの短いストーリーがふんだんに盛り込まれています。戦争という人間が殺し合う中でも、個の人間は決して争うことを好むのがすべてではないことが、主人公とも言える馬の周囲で起きてきます。また作品の序盤と終盤では、昔懐かしい西部劇をちょっと連想するような演出を使っているのがスピルバーグの「映画好き」が垣間見られて良いなと感じます。

しかし登場人物のエピソードが宙ぶらりんになってる感じがして、観終わった後やや不完全燃焼感が残りました。例えば物語の中盤で出てくる、フランスの祖父と孫娘のエピソード。孫娘の両親は結局何故「いなくなった」のか?何故祖父は伝書鳩の話をしたのか、そのたとえ話の裏付けとなる彼の体験とは?話の筋としては大して重要ではないことは理解するのですが、そこまで突っ込まれて何故そこでうやむやになってしまうのよ、みたいなエピソード不足がある気がします。

スピルバーグのSFじゃない大作はやや重たい感じがあるのですが、題材と言い個人的には良かった一本だなと思います。時間とお金のある方は是非ご覧ください。



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Posted by 清水落語王国Web管理人 at 01:00│Comments(0)映画
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