2012年06月18日

映画「サラの鍵」感想文

映画「サラの鍵」感想文

シネプラザ・サントムーンでの観賞です。

1942年。第二次世界大戦中のフランスのパリ。ナチス・ドイツ占領下にあったこの街で、ある朝突然にフランス警察によるユダヤ人一斉検挙が行われた。パリの一角にあるアパートに住む少女サラ(メリュジーヌ・マヤンス)は逮捕される一瞬の隙を突いて、幼い弟を納戸に隠れさせ鍵をかけた。サラと彼女の両親は、数千人のユダヤ人と共にヴェルディヴと呼ばれる室内競輪場に押し込まれた。トイレも使用することを許されない劣悪な環境の中で、病気にかかったり自殺する人まで現れる始末だった。サラは納戸に閉じ込めてきた弟の身を案じるが脱出は不可能だった。ヴェルディヴの日々の後、一家は収容所に送られた。両親とも離されたサラは、収容所からもう一人のユダヤ人少女と共に脱走する。納戸の鍵を握り締めて。一方2009年のパリ。ジャーナリストのジュリア(クリスティン・スコット・トーマス)は夫と娘と共にこの街に住んでいた。不妊治療の結果妊娠した彼女だが、夫の反応はかんばしいものではなかった。彼女は仕事に打ち込んだ。取材テーマはヴェルディヴ事件。取材を続けているうちに彼女一家が住もうとしていたアパートは、サラが住んでいた場所とわかる。ジュリアはサラのその後を追い始める。

世界中で300万部を売り上げたタチアナ・ド・ロネの原作を基にした、過去と現代を交錯させながらユダヤ人一家に起こった悲劇を描く社会派ドラマです。監督さんは「ザ・ウォール」のジル・パケ=ブランネール監督。事件を追う女性ジャーナリスト役に「ブーリン家の姉妹」のクリスティン・スコット・トーマス。連行されるユダヤ人一家の娘役に「アサシンズ 暗殺者」のメリュジーヌ・マヤンス。

さてナチス・ドイツのユダヤ人虐殺にフランス警察が荷担したことで知られるヴェルディヴ事件を題材にしています。ただ事件とその後を同じ時間帯で追っていくのではなく、現代の人たちが過去と接点を持ちながら進行していくスタイルを取っています。また伏線を非常にわかりやすく振っておいて、この先への興味をわかせる演出です。落ちも「そうなるな」と言う予測はある程度つけられるものの、ホロリとさせられるような感じがありました。また色んな親と子の関係が出てきます。意外と親の過去って知らないものだなぁと思ったりもします。

こういったユダヤ人虐殺を題材にした映画は、押し込められたその悪い環境を表現する上で「リアリティ」を押し出さなければならないのは理解できるのですが、そういったものを受け入れがたい人たちには不快感が残るかもしれません。また現代の人たちの職業や家族構成の辺りがややわかりにくいのも残念かなと思います。

決して幸せではない過去と現代の二人の女性ですが、最後に何となく救われるようなラストシーンが印象的です。時間のある方はご覧下さい。


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Posted by 清水落語王国Web管理人 at 00:34│Comments(0)映画
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